東京圏、青春18きっぷ使って「うずまき」乗り歩き 1日だけでJR線を500km、朝から晩まで鉄道三昧

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左に渋滞の首都高速、右に海原を一望する旧江戸川鉄橋で千葉県に入ると、西洋の城郭のようなホテルが迫って舞浜。若い人々が降りてしまったら、車内はガラガラになった。ネズミの顔を模った窓のモノレールが横に並んだ。

ファンタジーの世界が遠ざかった次は工場群、新浦安の整然とした街……と、埋立地は地区ごとに用途が明瞭に分かれている。そして、海を飛ぶような感覚で江戸川を渡ると大きなデルタ線に入って京葉線の本線から離れた。

西船橋から武蔵野線で、武蔵野線電車は東京直通と、海浜幕張や南船橋発が交互に組み合わさる。出合う電車は赤帯のE233系が消えて、オレンジ+茶色の帯のE231系または209系ばかりとなった。Eが付かない209系は、機器の情報システムが刷新される(TIMSの導入)前の世代の車両であり、山手線にE235系を新製導入することでE231系500代を中央総武線緩行に転用、同線にあった209系とE231系が武蔵野線に移され、205系を置き換えている。

海を望む京葉線から一転、下総台地へ

車窓風景も一転した。下総台地に入り、住宅地に緑が増える。

首都圏JRの通勤車両として最古参となった205系で運転される南武線の支線。隣には武蔵野線から川崎貨物駅に向かう貨物列車が並ぶ(写真:仲井裕一)

武蔵野線は都心経由の貨物列車をバイパスさせる一大目的をもって1970年代に鉄道公団によって建設され、そのついでのように旅客営業を始めた路線であった。したがって、当時は交差路線沿い以外は田園が広がっていた。ところが50年が経つ今は新しい街が連なった。

8両編成という点に都心の路線との差はあるが、今や日中も10分間隔だ。常磐線、つくばエクスプレスと交差した後、江戸川との2度目の出合いで埼玉県に入る。往時、三郷の次は吉川であったが、貨物輸送の変革で役目を終えた武蔵野操車場の中間部に新三郷駅が開業、やがて操車場跡地が巨大商業施設を含めて再開発され、2012年には隣に吉川美南駅も新設された。吉川駅を挟んで越谷レイクタウン駅は2008年の開業だ。

車内模様も活気づいた。洗濯を手早く片付けてきたと主婦同士が会話し、ベビーカーも乗っている。多くの大学を抱える東武伊勢崎線や東上線沿線に向けた学生が加わり、途中駅で立客が増え、接続駅で大きく入れ替わる。

次ページ主婦や大学生で車内も活気づく
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