こうしてソフトバンクのロボットが誕生した 僕は何をするために生まれてきたのか

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将来を見据えた孫社長の脳内イメージは想像もつかない(撮影:梅谷秀司)

ペッパー誕生は序の口?

来年2月の一般発売(販売価格約21万円)を前に、9月には開発者会議が開かれる。アルデバラン社の「nao」と同様、ソフトウエア開発に必要なキットの配布や、開発したアプリが流通するストアもオープンする予定だ。

世界70ヵ国で展開するアルデバラン社のロボット。第4世代の「Nao Next Gen」。身長は57センチと小型で、運動性能が高い。ペッパーのような会話のやりとりは苦手。国内では約400台が導入されている。東大ではロボット同士が連携する動きの研究、教育施設では自閉症の子供の教育などで研究、活用されている

メゾニエCEOは「プラットフォームのロボットがあれば、音声認識や演奏といった各分野の開発も爆発的に広がるだろう」と期待を寄せる。チームリーダーの林氏は、「多くの開発者が活躍すれば、新産業が立ち上がるようなインパクトになる。その中で、ソフトバンクはぶれずにコミュニケーションに注力していく」と語る。

一方、普及に向けたハードルもある。アルデバランの日本統括総責任者である谷崎敦氏は「数十万、数百万と普及していくにはシンプルな操作やインフラの整備、高い安全性も重要。政策面の後押しも必要になる」と言うように、ペッパーの爆発力はまったくの未知数だ。

「『鉄腕アトム』を見ていた頃からの夢」とペッパーの発表会で満面の笑みを見せた孫社長。7月15日の自社イベントでは「日本復活の方程式は汎用型のロボットを活用し、労働人口や賃金の問題を解決すること」と語った。ペッパー誕生は序の口。孫社長は想像もつかない次の一手を考えているに違いない。

「週刊東洋経済」2014年8月2日号<7月26日発売>掲載の「核心リポート03」に一部加筆し転載

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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