こうしてソフトバンクのロボットが誕生した 僕は何をするために生まれてきたのか
キャラクター設定にはソフトバンクモバイル「白戸家」のCMを手掛けるディレクターの佐々木宏氏が協力。目標としたのは、ロボットと人のリアルなやり取り。強気のキャラクターが生まれたのも、「本当の友達なら、表面的ではなくきついことも言い合える」と考えたからだ。ほぼ毎週、メンバーが集まり、会話の内容を詰めていった。しかし、「CPUの性能に合わせて調整した演出が、(本体機能の向上で)台なしになることもあった」(ワン・トゥー・テン・デザインの長井健一氏)。発表の半年前まで、試行錯誤が続いたという。
エンタメを担当したよしもとも、ロボットで笑いを取るのは勝手が違った。「アメトーーク!」など、超人気バラエティ番組を担当する放送作家の中野俊成氏が企画し、動作は拍手マシンなどを手掛けたエンタメユニット、バイバイワールドの高橋征資氏とシン・キョンホン氏が担当した。当初は「動作中にバッタバッタと倒れる状態だった」(シン氏)という。
ロボットの「笑い」を追求した
人ではなくロボットとしての笑いにこだわり、「発声の不自然さもよさとしてとらえた」(高橋氏)。歌舞伎のしぐさでは、手の振りから回転スピードまで、細かな点も徹底的に配慮した。ロボットゆえに、笑いを生む「間合い」を調整するのも一苦労だった。
「テレビ番組でこの芸人が言えば絶対に面白いというせりふがあるように、どうすればペッパーの面白さを引き出せるか、という観点でやってきた」と中野氏は語る。電通チームとも綿密にやり取りし、ペッパーのキャラクターを引き出していった。一方、ペッパーは人の顔を認識して追跡するようになり、故障時には動作を停止する安全装置も搭載。発声のコントロールも改良されるなど、ハードとソフトの開発を融合させ、完成形に近づいていった。
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