鉄道混雑率、首都圏「上位独占路線」が姿消す激変 2020年度、東西線などに代わり浮上した路線は?

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日暮里・舎人ライナーは2016年度以来、混雑率ワースト5の常連となっている路線で、2019年度は189%で5位だった。今回は140%まで下がったが、他線の混雑率も大幅に低下したため1位となった。

同線は2008年の開業以来利用者の伸びが続き、車両を増備してダイヤ改正のたびに増発を実施。とくに平日朝の上り(日暮里方面)に利用が集中しており、2020年3月のダイヤ改正では朝8時台の列車を2本増やして19本とし、輸送力を増強した。最混雑区間である赤土小学校前→西日暮里のピーク時1時間(7時20分~8時20分)で見ると1本の増加で、輸送力は300人分ほど増え約4700人に。一方で同時間帯の輸送人員は約1800人減って約6600人となり、混雑率そのものは前年度比で49ポイントも下がる結果となった。

東京都交通局は2019年に発表した経営計画で、2022年度以降、車内をすべてロングシートにして定員を増やした車両に順次更新する方針を示している。コロナ禍で今後の利用者数の変化は見通せないが、車両の輸送力自体はアップすることになる。

東西線は199%から76ポイントダウン

これまで混雑率上位といえば首都圏の路線がほぼ独占していた中、今回は2位に信越線(新潟県)が浮上した。

同線の混雑率は以前から全国でも比較的高く、2019年度は140%。2020年度のピーク時1時間当たりの輸送人員は500人ほど減って約5900人となったが、首都圏の鉄道利用者が大幅に減る中で「高止まり」した形だ。4位の可部線(広島県)は前年度比で輸送人員が約260人増加。もともとのボリュームが小さいこともあり、混雑率は10ポイント上昇して132%となった。

一方、従来のワースト常連路線はラッシュ時の利用者数が大幅に減少している。ここ数年1位が続いていた東京メトロ東西線(木場→門前仲町)は、ピーク1時間当たりの輸送人員が約2万9000人も減って約4万7200人に。輸送力は10両編成27本で変わっていないが、混雑率は2019年度の199%から123%へと76ポイントもダウンした。

東京メトロは東西線の混雑率を180%以下に抑えることを目標に、駅や施設の大規模改良を進めてきた。飯田橋―九段下間では2025年度の供用開始を目指し、列車増発に対応する折り返し設備を整備。南砂町駅では2027年度に向け、ホームと線路を増やす工事を実施している。

今回、すでに数値上は180%を大幅に下回った形だが、改良工事については「今のところ当初予定通り進める」(同社)という。

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