実は高収益「日立の家電」冷蔵庫で知るその稼ぎ方 調整後営業利益率は日立全体の水準を上回る
2015年10月に設立したアメリカのジョンソンコントロールズとの合弁会社であるジョンソンコントロールズ日立空調は、日立GLSの高い技術力とジョンソンのグローバルネットワークを融合させた。日立GLSの出資比率は40%とマイノリティではあるが、空調事業のEBIT率を2015年3月期の約7%から2020年3月期に約13%へ引き上げるのに貢献した。2021年3月期も数字は非公表だが、利益を押し上げているという。
これと同じ手法を用いたのが、2021年7月1日からスタートしたトルコ・アルチェリクとの合弁会社「Arcelik Hitachi Home Appliances」である。アルチェリクは、欧州を中心に世界150以上の国と地域で家電事業を展開している企業だ。
合弁会社には、日立GLSの海外白物家電事業を移管。海外における日立ブランドの冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの白物家電製品の製造、販売、アフターサービスを担う。日立GLSの出資比率はこちらも40%である。
展開地域と付加価値で相互補完できる
「日立GLSが日本、東アジア、中国で実績を持っているのに対して、アルチェリクは欧州、アフリカ、南アジアに強みがあり、地域的に補完関係がある。また、日立GLSが付加価値領域で強みがあるのに対して、アルチェリクはボリュームゾーンに強いという点で補完できる」(谷口社長)
合弁会社の株式60%をアルチェリクに売却して得た3億ドル(約330億円)は、ルマーダのソリューションに投資。資本比率はマイノリティであっても、補完関係を生かしたり、アルチェリクが持つ経営スピードを活用したりすることで、日立ブランドの製品をグローバルに成長させ、利益構造の強化にもつながるとみている。
日立GLSでは、2021年4月に、新たに「パーパス」を策定した。
「ひとりひとりに、笑顔のある暮らしを。人と社会にやさしい明日を。私たちは、未来をひらくイノベーションで、世界中にハピネスをお届けします」とするパーパスは、2年前に現社名を決定したときと同様に、社員が参加してまとめたものだ。
「社員全員が、パーパスをわが事とすることが大切であり、それによって、社員の力がより強く発揮される環境が整う」とする。
デジタルを活用した売り切りビジネスからの脱却によって、つながりを通じて、笑顔のある暮らしを届ける企業への転換を本格化しはじめた日立GLS。日立が目指す「デジタルで成長する企業」の先兵としての役割を果たすことになりそうだ。
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