実は高収益「日立の家電」冷蔵庫で知るその稼ぎ方 調整後営業利益率は日立全体の水準を上回る
日立製作所は、2021中期経営計画において、大規模な構造改革を実施し、1兆円規模(96億ドル)を投資したGlobalLogic(グローバルロジック)の買収や、自動車機器事業を行う日立Astemo(アステモ)を発足する一方で、上場子会社であった日立化成や日立金属の売却といった大ナタも振るった。
これらの構造改革について、日立製作所の東原敏昭会長兼CEOは「日立が進めているのはデジタル化。その方向と異なるバランスシートで成長していくものを連結から外した」と表現。そして、小島啓二社長兼COOも日立の目指す方向性のひとつとして「デジタルで成長する企業」を掲げながら、「日立が戦略的に保有している企業に共通しているのは、データを活用でき、Lumada(ルマーダ)との親和性が高いこと。家電事業もそれに当てはまる」とする。
ルマーダは、デジタル技術を活用したソリューションやサービス、テクノロジーによって、社会課題を解決するプラットフォームを指す。日立が「デジタルで成長する企業」を実現するうえで、家電、空調事業を担う日立GLSは、重要なピースになるといえる。そして、日立GLS自らもその役割を担うべく、デジタルに強い企業へと体質改善を図っている。
日立GLSの谷口社長は、「デジタルやソリューションをしっかりと理解し、それをビジネスにつなげる人材を強化しなくてはならない。その着火剤となる人材を外部から採用しており、今年度は、その波及効果を最大化したい」とする。
デジタル化を推進するCDO(Chief Digital Officer)やCGO(Chief Growth Officer)に、外部人材を登用することで、日立GLS自らの体質改善を急いでいる。
白物家電事業の業績は好調
経営体質も強化している。2021年3月期は、コロナ禍での設備投資の抑制によってBtoBが低迷したが、白物家電事業は好調に推移している。売上収益は前年比2%減の4563億円と減収になったものの、調整後営業利益は46%増の335億円となった。
調整後営業利益率は7.3%と2020年3月期から1.4ポイント上昇し、過去最高を記録。日立全体(5.7%)を上回っている。2021年度見通しも、8.2%と日立全体(7.8%)を上回る見込みだ。EBIT(利払い前・税引き前利益)は399億円、EBIT率も1.2ポイント改善し、8.7%となった。EBIT率も過去最高だ。
利益体質の向上は、巣ごもり需要という追い風を捉え、高付加価値の白物家電の販売好調と、原価低減や標準化への取り組み、デジタル化によるサプライチェーンの改革や事業効率の向上が貢献したと自己分析する。
利益体質の強化に貢献している1つが、空調での合弁事業だ。
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