中国の新式ティー「奈雪の茶」割れる市場の評価

6月末に香港証券取引所で上場したが公募割れ

「奈雪の茶」の上場初日の取引は、公募価格を下回る苦しいスタートとなった(写真は同社ウェブサイトより)

フルーツティーや、ミルクティーなどの「新式ティードリンク」を提供する茶系飲料チェーン大手の「奈雪の茶」が、6月30日に香港証券取引所に上場した。新式ティードリンク業界の企業によるIPO(新規株式公開)は、同社が第1号だ。

しかし、上場初日の株価は苦しいスタートとなった。公募価格の19.8香港ドル(約282円)に対し、取引開始後の初値は4.75%安い18.86香港ドル(約269円)で寄り付き、その後も下げ幅を拡大。終値は公募価格より13.54%安い17.12香港ドル(約244円)で引けた。

今回のIPOで、奈雪の茶は総額は約51億香港ドル(約726億円)を調達した。新株の売り出しは個人投資家の高い人気を集め、同社の開示資料によれば申し込み件数は64万件、当選倍率は431倍に達した。

ところが、機関投資家の反応は相対的に冷めていた。「奈雪の茶に対する評価は、プロの間では割れている。否定的に見られる理由は、新式ティードリンク業界には特段の参入障壁がないことだ。奈雪の茶は一時的なブームで注目されているにすぎず、突出した強みがあるわけではない」。財新記者の取材に応じたある機関投資家は、そんな見解を示した。

店舗数は喜茶に次いで第2位

奈雪の茶は2015年に、広東省深圳市に1号店を開店した。新式ティードリンクは、伝統的な中国式の喫茶店が提供するお茶、牛乳、果物などをベースに、材料や製法にアレンジを加えて創作した飲み物だ。代表的な商品にはフルーツティー、ミルクティー、(フルーツやミルクを加えない)ピュアティーなどがあり、1杯当たりの価格はほとんどが20元(約342円)を超える。また同社は、社交スペースとしての魅力を訴求した広々とした店舗も売り物にしている。

本記事は「財新」の提供記事です

今年5月末の時点で、奈雪の茶は中国の大都市を中心に556店をチェーン展開している。新式ティードリンク業界では、首位の「喜茶(ヘイティー)」に次ぐ第2位の店舗数だ。なお財新記者の取材によれば、喜茶は現時点ではまだ株式公開の計画を立てていないという。

奈雪の茶の業績に目を移すと、2020年の売上高は30億5700万元(約523億円)。純損益は2億300万元(約35億円)の赤字だったが、投資損益やストックオプションなどを控除した調整後の純損益は1664万元(約2億8471万円)の黒字を確保した。さらに、2021年1~3月期の売上高は9億5900万元(約164億円)、調整後の純損益は730万元(約1億2490万円)の黒字を計上している。

(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月30日

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、「新しい日常」への前進
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT