時速6~15キロ「低速モビリティ」は普及するのか 「モビチェン」公認で考える移動手段の可能性

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こうした中、「多様な交通主体」というくくりの中で、まずは一定数がすでに普及している電動車いすの使い方の最適化に関する議論がさらに進むべきだと思う。

一方、既存のペダル付き原動機付自転車等(時速15キロ以上)について、警察庁は電動キックボードが時速19キロとしているケースがあるなどの実態を踏まえて、事業者へのヒアリングを行った。

電動キックボードに関する事業者の展示風景(都内展示場で筆者撮影)

そこからあがってきた要望としては、シェアリングを円滑にするため「ヘルメット着用の任意化」「免許不要」、自転車レーンなどを含めた「走行場所の拡大」があった。

これに対して有識者からは、事故時の被害軽減のため、「ヘルメット着用は必要」「免許なしとすると子どもが勝手に乗り回すので危険」「時速20キロ程度は速すぎるため徐行の場合のみ歩道走行可能」といった意見が出された。筆者としても有識者らの意見に同意する。

出口戦略を見定めたサービス主体の観点が大事

こうした既存の時速6キロ以下と、時速15キロ以上の乗り物の中間に位置するのが、警察庁を含めて各方面でさらなる議論が進むであろう、時速15キロ未満を想定する「小型低速車」だ。

要するに、小型低速車は電動車いすや、それに近い形の乗り物の走行速度を上げて、ユーザーにとっての利便性を上げること。また、時速15キロ以上での走行は、歩行者や自転車など人力で移動する他の交通への安全性を考慮すること、という2点における打開策であるともいえるだろう。

いずれにせよ、この領域での免許制度やヘルメット着用の有無については、今度さらなる検証が必要だと感じる。

glafitの折りたたみ可能なハイブリッドバイク「GFR-02」、バイクとして走行するときはヘルメット着用が必須(B8ta Tokyo-Yurakuchoにて筆者撮影)

以上のように、「多様な交通主体」は、各方面でさまざまなトライが行われている。そして、そうした成果によって、自分で運転する移動手段の選択肢が増えることは、交通利用者にとってプラス要因になると思う。

ただし、改めて感じるのは、移動とはあくまでも“移動する人が自身の意思による目的があって行う行為”であり、そうした社会の実質的なニーズと事業性とのバランスを考慮したサービス主体の出口戦略を、事業者や地方自治体はつねに意識する必要がある。

「多様な交通主体」が未来の日本に向けたよき社会変革につながることを期待したい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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