入居1年の本社売却…HISが狙う来期黒字の現実味 厳しい環境でも衰えない「澤田会長」の成長意欲

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HISのメインバンクは三井住友銀行とみずほ銀行。今後は財務制限条項への対策も求められる(編集部撮影)

西新宿から本社を移転してわずか1年――。旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は6月30日、本社を売却すると発表した。

2020年3月に竣工した「神谷町トラストタワー」(東京・港区)の4階と5階部分に入居しており、約2320坪すべてを売却する。売却後もそのまま賃借するセール&リースバックで、借り入れや増資でなく手元資金を確保する。

売却額は簿価と同額の325億円。三井住友フィナンシャルグループのグループ企業に売却する。7月をメドに契約を締結する予定で、リース額は現在交渉中だ。

資産売却で財務を強化

昨年12月、上場来初の最終赤字転落と財務の悪化を受け、澤田秀雄会長はホテルなど投資計画の大幅縮小を公表。また、不動産や有価証券の売却、ハウステンボスについても「売却すると700億~800億円になる」と言及。この中で、前CFOの中谷茂取締役(1月に退任)は「本社も資産なので考えていく」と語っていた。

すでにコミットメントラインで330億円、当座借り越し枠も30億円を確保し、流動性の問題はないとの認識だが、本社売却でさらに財務基盤を固める。今後も固定費の削減に加えて資産の売却を続け、自助努力での資金確保に努める構えだ。

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