東京五輪・パラリンピックの開幕を2週間後に控え、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が8日来日する。新型コロナウイルス禍で1年延期された大会は、観客の扱いを巡り直前まで調整が続くなど、安全安心な大会実現に向け引き続き多くの課題を抱えたままだ。
バッハ会長は来日後3日間ホテル待機した後、23日の開会式まで組織委と最終調整する予定。16日には五輪開催期間中は戦争を休止する「オリンピック休戦」を記念して、平和記念都市広島を訪問する。
バッハ会長は6月29日に公表した書簡で、来日時にはIOCメンバーやスタッフほぼ100%がワクチン接種あるいは免疫獲得を済ませているとし、十分感染対策した上で来日することを明らかにした。
どうなる観客とチケット
開催地の東京都を含む首都圏での感染再拡大を受け、政府は11日期限のまん延防止等重点措置の延長などを8日にも決める見通し。大会組織委員会や都は政府の国内イベントの開催基準に照らして無観客を含め対応を再検討する方針で、来日中のバッハ会長含めIOCなどとの5者協議で決定する。
組織委は6月に合意した観客上限「定員の50%以内で最大1万人」を前提に、一般向けに販売済みの観戦チケット363万枚を再抽選して272万枚に絞る予定だった。しかし、観客の扱いを再検討するため、当初6日だった抽選結果の発表を10日に延期した。
組織委の武藤敏郎事務総長は6月21日の会見で、観客制限により900億円を見込んでいた五輪のチケット収入は「おそらく半分を下回る」と発言した。一部無観客を含め観客数がさらに絞られれば新たな減収要因となる。
大会ボランティアのワクチン接種も完了せず
政府コロナ対策分科会の尾身茂会長は7日の衆院厚労委で、「無観客が望ましく、大会関係者を入れるにしても最小限にすることが矛盾したメッセージを出さないために非常に重要だと思う」と答弁、大会関係者が個室のあるレストランやコンビニを利用することで感染が拡大する可能性もあり得るとも述べた。