アウディが2026年までに「新車をEV化する」真意 「技術による先進」として電動化を決断した

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アウディのEVラインナップ(写真:Audi Japan)

アウディのマルクス・ドゥスマンCEOは、「アウディ最後の内燃エンジンは、過去最高のものになる」と語ったと伝えられる。国内では、ガソリンエンジンの熱効率を40%以上にする取り組みが進められているが、振動や騒音などを含めた総合的な商品性では低下しており、熟成が必要に思われる。そうした挑戦をアウディは、この先の十数年行うということなのだろう。

今回のアウディの決断は、企業メッセージを体現するものといえる。BMWの「駆けぬける歓び」は有名だが、同様の企業メッセージがアウディでは「技術による先進」となる。技術への挑戦によって時代を切り拓くことが、アウディらしいブランドの姿というわけだ。

歴史からアウディという自動車メーカーを紐解く

アウディの創業は1899年で、当時は「ホルヒ」が社名だった。当初からホルヒのクルマは独創的で、燃焼の音を抑える無震動エンジンと呼ばれ、横に寝かせたエンジン方式を採用し、エンジン構造部にはアルミニウムを採用し軽量化した。変速機には、ニッケルクローム鋼という硬い合金を使い、耐久性を確保した。当時から技術に凝ったクルマづくりを行ってきたのである。

のちに、ドイツ語のホルヒと同じ「聞く」との意味を持つラテン語の「アウディ」に社名を変え、今日にいたる。その間、経営面では存続を懸けた、ホルヒ、アウディ、DKW、ヴァンダラーの合併によるアウトウニオンの誕生(アウディのロゴとなる4つのリングは、この合併に由来する)や、これにNSUを加え今日のアウディにいたるまで、戦前戦後を通じ苦難を乗り越えながら技術への挑戦は続けられてきた。

現行モデルのA8。写真は限定モデルのAudi A8 Grand Touring limited(写真:Audi Japan)

NSUは、ロータリーエンジンの開発で知られ、「ヴァンケルスパイダー」や「RO80」というロータリーエンジン車を製造している。マツダは、そのNSUと技術提携を結んだのだ。また、舗装された道を高速で安定して走る4輪駆動車クワトロ(イタリア語で4の意味)を、1980年に登場させた。1980年代半ばからアルミ車体の開発を行い、1994年の「A8」で結実させている。

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