災害対策を意識した最旬キャンピングカーを調査 トレンドはインフラを確保する充電システム

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給電くんポップアップルーフの車内(筆者撮影)

ほかにも各10Lの給水タンクや排水タンク、シンク、家電が車外で使える100Vの電源コンセントなども設定することで、キャンプ場での車中泊はもちろん、緊急時にはライフラインを確保することもできる。

後ろから見た給電くんポップアップルーフ(筆者撮影)

オートワンの担当者によれば、このモデルを開発したきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災だったという。同社は神奈川を拠点とするメーカーだが、当時の惨状をメディアなどで目の当たりにし、得意とする軽キャンピングカーで、災害にも活用できるモデルが作れないかと考えた。

そこで、車体が小さい軽自動車に搭載できるオリジナルのソーラーパネルやインバーターを考案。17~18年前に現在の仕様が完成し、同社のロングセラーモデルとなる。ユーザーは大阪など関西在住者も多いが、これは関東圏と同様、住宅地に狭い道路が多く、広い駐車場も少ないなど、大型のキャンピングカーの維持が難しいことが大きい。また近年は、レジャーだけでなく災害時にも役立つことが話題となり、問い合わせが増加しているという。

キャンピングカーなら愛犬と一緒に避難できる!

同社の給電くんが実際の災害時に活用された事例もいくつかあるという。例えば、2019年10月に、千葉県を中心に被害をもたらした豪雨災害のときだ。当時は、広い地域で停電も起こったが、同モデルを所有するユーザー宅では、ガスは使えるものの電気の供給が停止したため、給湯器すら使えない状況だったという。そこで、同モデルの外部給電機能を利用し、サブバッテリーの電力から給湯器を動かすことができたという事例がある。同社担当者によれば、「近年はオール電化が進んだことで、停電により家の機能が停止するという事例も多いようです。緊急時に電力を確保できるということで、(給電くんを)購入いただくお客様も増えています」という。

ペット用のケージやグッズなども搭載できる「愛犬くん」の外観(筆者撮影)

さらに、避難時にペットも同伴できるというメリットもある。近年は大雨などにより、早めに安全な場所へ移動するよう避難勧告が頻繁に出されることも多い。だが、避難所によっては、ペットを受け入れてくれない場所もある。同社担当者によると、「愛犬などを自宅に残して避難したくないということで、キャンピングカーにペットも乗せて、避難所の近くに行くことを想定されるお客様もいらっしゃいます」という。確かに東日本大震災のときは、人はなんとか避難できでも、多くのペットが家に取り残されたという事例が多かった。

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