企業のなかにはこうした生産地での水リスクを考慮し、仕入れ先を変えるケースがある。私たちも生産地で何が起きているかを知り、商品購入の選択を考え直すべきだろう。
チリでのアボカド栽培の実態
では、アボカドはどうか。
アボカドの生産は主にメキシコ、ペルー、チリなどで行われている。アボカド栽培に使用する水の量は生育環境や農法によって異なるが、チリの乾燥地域では1つのアボカドを育てるには320Lの水が必要だ。
「アボカドの世界的仮想水取引("Global virtual water trade of avocado"/DarioCaroら/2021)」によると、「アボカドの国際貿易は2000年の0.4Mtから2016年の1.9Mtに増加」「アボカドの世界的な仮想水取引は2000年の408Mm3から2016年の2238Mm3に増加」している。
アボカド貿易による大規模な水の流れは、メキシコ、ペルー、チリなどの慢性的な水ストレスにすでにさらされている国から、アメリカ、日本、カナダ、欧州連合などのより水が豊富な地域に向かって移動している。水不足の国から、比較的水の多い国への水の移動が起きており、水格差を助長させている。
チリの水ストレスをAqueduct Water Risk Atlasなどで調べると、首都サンティアゴを中心に水ストレスの高いエリアが広がっている。
2010年から深刻な干ばつが続いていおり、農業、牧畜は壊滅的な被害を受け、さまざまなセクター間の水の争奪戦が起きている。サンティアゴの2019年の年間降水量はわずか90mm(日本の年間平均降水量は1718mm)。1981~2010年の平均降水量の約336ミリを大きく下回った。
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