WeWork「利用料半額キャンペーン」に透ける思惑 コロナで稼働率悪化、株式上場にらみ躍起に

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値引きの背景にあると推測されるのは、コロナ禍による稼働率の落ち込みだ。ウィーワークが3月に公表した投資家向け説明資料によれば、2020年末時点における世界中の拠点の平均稼働率は46%(共用部のみ利用可能なオールアクセス会員を除く)。2019年末の72%から大きく下落した。

テレワークの導入によるオフィス需要の減退が直撃した格好で、2020年12月期の業績は約32億ドルの最終赤字となった。5月21日に開示した2021年1~3月期決算では、稼働率は底打ちしたものの、四半期で約20億ドルの最終赤字を計上するなど依然として苦しい状態が続いている。

稼働率3割未満の拠点も

ウィーワークは拠点ごとの稼働率を開示していない。だが、日本国内に限れば、大まかな状況をうかがい知ることができる。

ウィーワークジャパンはオフィス仲介会社向けに、各拠点の個室と固定席の稼働状況を、区画ごとに「契約中」「商談中」「空室」といった具合にウェブ上で公開しているためだ。一部拠点ではウェブ上で公開されている席数が本来の総席数を上回るなど、実体と齟齬がある部分もあるが、参考にはなる。

WeWorkは高級路線をいつまで続けられるか(記者撮影)

東洋経済は6月上旬時点でサイト上に公開されていたデータを入手。チラシに掲載されていた5拠点のうち、「空室」と表示されている区画数を集計した。「Daiwa晴海」では、データ上では677席が空室と表記されていた。契約中や商談中を含めると957席が公開されており、空室数と席数をもとに算出される稼働率は単純計算で29%となる。

「リンクスクエア新宿」の空室数は967席で、稼働率は40%にとどまる。前出の投資家向け説明資料では、オールアクセス会員を除いた個室や固定席の稼働率が7割に達すると、損益分岐点を超えるとされる。Daiwa晴海やリンクスクエア新宿単体では損失が生じている可能性がある。

一方、「日テレ四谷ビル」は703席のうち空室は130席にとどまり、稼働率は81%と高い。チラシには掲載されていないが、「渋谷スクランブルスクエア」などの旗艦拠点でも「大口顧客であれば、営業員との個別のやり取りの中で踏み込んだ値引きが行われている」(別の仲介業者)とされ、こういった値引きの浸透度が拠点ごとの稼働率に影響している側面もあるようだ。

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