フマキラーvs.アース 泥沼の戦いに終止符か
殺虫剤3位のフマキラーが選んだパートナーは、消臭芳香剤大手のエステーだった。5月13日に両社は資本業務提携を発表。6月4日には、エステーが16億円の第三者割当増資の払い込みを完了した。出資比率は15・1%となり、筆頭株主に躍り出た。エステーはフマキラーへ役員1人を派遣、持ち分法適用会社とする。
提携についてフマキラーの大下一明社長は、「研究開発施設を新設するため」と語るが、周囲の見方は異なる。現在、フマキラーの筆頭株主は11・7%を保有する殺虫剤首位のアース。2008年から株を急速に買い増しており、買収防衛策との見方が多い。
独自の海外展開が魅力
アースとフマキラーの関係は、悪化の一途をたどっている。08年当時、アースから非公式に経営統合の打診があったとの報道が流れたが、フマキラーは「特段の接触はない」と言下に否定。その後、創業家が株を買い増すなどの買収防衛策を講じ、徹底抗戦の姿勢をとってきた。09年には両社が製品の類似性を理由に販売停止を求める訴訟を起こし、今年4月に和解したが、わだかまりは残る。
アースの売り上げ規模はフマキラーの4倍以上で、大塚製薬グループというバックを持つ。フマキラーにとって、のみ込まれることに対する危機感は強い。
だからこそ第3位の株主であるエステーと手を組んだ。衣料用防虫剤などを除けば、重複事業は少ない。独立路線を保ちたいフマキラーの意向を尊重すると明言していることもあり、フマキラーにはアースから身を守るための最適な相手だった。