医療費100万円請求?本当に怖い「130万円の壁」 健康保険組合から「高額請求」のナゾ
なお、退職後に前職の健康保険から傷病手当金や出産手当金を受給している場合や失業給付を受給している場合はそれらの手当等も含めて計算されることになるため、退職後すぐに扶養に入れない場合があることには注意が必要です。
また混同されがちですが、扶養には2種類あります。ここまで説明した社会保険上の扶養と、税法上の扶養です。
税法上の扶養とは、納税者の配偶者、子どもなどの給与収入が年間103万円以下の場合に、納税者の所得から一定の金額を控除することが可能になる制度です。社会保険上は130万円ですが、こちらは103万円と金額が違うのが注意すべき点です。また、この税法上では交通費を除いて計算されます。
このように一口に扶養といっても、健康保険上と税法上では考え方が異なります。その点も頭の片隅にいれておくとよいでしょう。
2:定期的に収入がチェックされる
健康保険の扶養は、扶養に加入する際に収入等を確認されますが、その後通常は1年ごとに状況が変わっていないか、扶養の再認定という調査が行われます。
以前は、扶養の再認定はあまり行われていなかったので、扶養に入ったら入りっぱなしで、後で収入を細かく見られることは正直なかったのですが、近年は健康保険組合の財政があまりよくない等の理由から、健康保険組合が定期的に扶養に入っている方の資格を確認するようになっています。
ところで、この扶養の再認定の結果、万が一、健康保険組合に遡って扶養から削除された場合。そうなると、扶養を削除された日から今まで掛かっていた医療費を請求されます。
病院での窓口負担は、通常本来の医療費の3割しか払っていません。つまり、残りの7割を加入している健康保険組合が負担しています。そのため、遡って扶養を削除され扶養の対象でなくなれば、その期間の7割分を自ら負担することになります。持病があり、定期的に病院に通っている方や手術などで高額に医療費が掛かった方は後日、大きな金額を請求されることになることがあります。
たとえば、扶養の再認定が10月にあり、収入が130万円を超えていたため、その年の1月1日に、遡って削除されたとします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら