増田ユリヤがYouTubeで鋭いツッコミ入れる理由 オタクモード全開で語る池上彰がタジタジに

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増田:この本の編集者からも、増田が質問をするときにどういうことに気をつけているか教えてほしい、と言われたのですが、そんなことを言われても答えようがない(苦笑)。というのも、こういうことには気をつけよう、などと意識的に考えたことすらないんです、私は。ただ、池上さんの話を聞いていて「ちょっと待って、それってどういうこと?」と思った瞬間に、質問を投げかけていると思います。

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話がかぶる、池上さんに失礼だ、ちゃんと人の話を聞け、というお叱りの書き込みをいただいたこともありましたが(苦笑)。でも、その瞬間を逃すと、池上さんは一方的に話すことに慣れきっているし、ご自分の説明がわかりやすいに決まっているという自負もあるしで、そのまま話が流れていってしまうんです。

失礼を承知で言わせていただければ、池上さんの話しぶりは、わかりやすいので、その場ではわかった気になれる。日本国民の先生のような存在であるから、質問もしない。もちろんそれは、それほど多くの人たちからの信頼を得ている、ということでもあるんですよ。

でも、自分のレベルで本当に理解できたか、といえば、私の場合、そうではないことがある。ちょっとの疑問でも、見過ごすと放送事故になるような大きなミスにつながることがある、ということを繰り返し経験していますから、そうならないように、という気持ちで臨んでいる、ということにつきます。

愛あるツッコミが、内容を深める

池上:その質問にどう答えるか考えることによって、自分自身の理解も深まっていく。「わからない」と言ってもらえるからこそ、わかりやすい説明ができる。さらに動画の編集によって、面白くしてもらえる。愛ある「ツッコミ」「いじり」は大歓迎ですよ。

増田:愛ある、ですね(笑)。

池上:愛があるかどうかわからないけどね(笑)。伝えようとする相手が、何がわからないかがわかれば説明ができるようになる。つねに、伝えようとしている相手の立場を想像できるか、ということだよね。

オレはNHKの「週刊こどもニュース」で、小学生の「これはわからん」に答えるために、物事をわかりやすく伝える経験は積んできたけど、伝えようとしている内容について「何となくはわかっているけれど、詳しくない」という大人に伝える経験は不十分だったなあ。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶應義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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増田 ユリヤ ジャーナリスト

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ますだ ゆりや / Yuriya Masuda

1964年、神奈川県生まれ。27年にわたり、高校で世界史・日本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのリポーターを務めた。テレビ朝日系列「大下容子ワイド!スクランブル」でコメンテーターとして活躍。著書に『揺れる移民大国フランス』『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』など多数ある。また池上彰氏との共著に『歴史と宗教がわかる!世界の歩き方』などがある。「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」でもニュースや歴史をわかりやすく解説している。

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