コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり

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1971年に出した日本1号店が持ち帰り専門だったこともあり、従来「店外戦略」には強かったマクドナルド。コロナ禍での躍進の裏には、この店外戦略において、矢継ぎ早に新規策を打ち出し需要を取り込んだ成果が大きい。

代表例が、コロナ前からほぼ全店で導入されていた、商品をスマートフォン等で事前に注文・決済できる「モバイルオーダー」のブラッシュアップだ。

モバイルオーダーを利用すれば、スマホで事前に支払いを済ませ、注文列に並ぶことなく店頭で商品を受け取れる(記者撮影)

モバイルオーダー利用には専用アプリのインストールが必要だったが、2020年4月に同機能をマクドナルド公式アプリ(2020年3月末時点で累計ダウンロード数6600万件)に追加して統合。

同年9月には、アプリのインストールや会員登録すら必要ない、Webサイト経由のオーダーにも対応できるようにした。

車を利用する顧客向けの対策も強化。コロナ禍ではドライブスルーの利用が急増し、専用レーンや店前の道路では渋滞が頻発した。そこで大型店ではレーンを増設し、小型店も受け取りポイントを増やすなどの改善策を進めた。

モバイルオーダーで事前に注文して店舗内の駐車場で待っていれば、顧客の車までスタッフが届けにきてくれる新サービス「パーク&ゴー」も投入。2020年5月に導入を始め、2021年3月末時点での対応店舗数は860店と急ピッチで拡大した。

今年中に全都道府県で宅配に対応

一連の対応の速さについて、ある外食チェーン幹部は舌を巻く。「コロナ禍で多くの飲食店が一斉にテイクアウトに踏み切ったが、付け焼き刃程度で売り上げの数%にすら届いていないケースも多い。もともとテイクアウトに強いマックに本腰を入れられたら到底かなわない」。

自社の宅配サービス「マックデリバリー」の対応店舗数は2019年末に257店だったが、2021年3月末には756店に拡大。ウーバーイーツの対応店舗拡充に加え、昨秋には出前館も導入し、何らかの宅配に対応する店舗は2021年3月末時点で1629店(全店の約55%)となった。2021年度中には宅配を47都道府県すべてに導入する方針という。

さらに、読売新聞の販売店の配達スタッフがマックデリバリーの配送業務を担う、業種の垣根を超えた取り組みも進めている。「デリバリーでは住所が不明確なケースもあるが、地域を知り尽くしている新聞配達員なら、スピーディーなデリバリーが可能」(中澤啓二執行役員)。

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