あれほど人気だった「着うた」が消滅した深い事情 開発の当事者が語る「スマホになじまない理由」
2009年には市場規模1200億円超に
2002年に登場した「着うた」は、ピークの2009年には市場規模が1200億円を超え、モバイルコンテンツとして最も大きな市場を形成した(「平成24年 モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」)。だが、2011年から2014年にかけて、年を追うごとに半減を繰り返し(「日本のレコード産業2020」)、2016年に配信サービスが終了した。
2011~2014年といえば、スマホやLINEの普及が進んだ時期であり、これと軌を一にして着うたは衰退していった。なぜ、スマホに着うたはなじまなかったのか。
「さとり世代」の名付け親で、若者文化に詳しいマーケティングアナリストの原田曜平氏は、自身が管轄する「若者研究所」でアルバイト勤務する10~20代の若者たちから着うたに関する意見を聴取した結果から、次のように話す。
「ガラケー時代のSNSといえばミクシィぐらいで、やりとりでは通話やショートメールを多用していました。しかし、LINEが主な連絡手段になってからは、メールや電話の使用頻度が格段に減った。使わないなら着信音にこだわらなくていい、と気持ちの変化はあったはずです」
とはいえ、LINEにも通知機能がある。たとえば「LINE MUSIC」を利用すれば、楽曲を着信音に設定することも可能だ。だが、通知音を「うた」にする人はあまり聞かない。原田氏はその要因をこう語る。