尾身氏の「反乱」が揺さぶる菅政権と五輪のゆくえ 最大のポイントは五輪1カ月前の「最終判断」

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五輪開催の意義や目的、開催時の感染防止策を政府や東京都などが「明確かつ具体的に説明しなければ国民の理解と協力が得られない」というのが尾身氏の主張だ。

一連の尾身氏の発言は「五輪開催の可否を判断する資格もないし、するつもりもない」との前提つきではある。しかし、同3日の参院厚労委では「なるべく早い時期に(専門家の)考えを正式に表明するのが我々の責任だ」と踏み込み、緊急事態宣言の期限となる6月20日の前に、感染症専門家らによる「見解」を政府などに提言する考えも示した。

これに対し政府側は、田村憲久厚労相が「自主的な研究の成果の発表と受け止めさせていただく」と述べ、あくまで「参考資料」として対応する考えを表明。丸川珠代五輪担当相も「別の地平から見てきた言葉をそのまま言っても、なかなか通じづらい」と冷笑するなど、政府の重要な判断材料と位置付けない立場を示唆した。

尾身氏の主張に理解を示す声も

多くの自民党幹部も「五輪に関与する権限もない部外者が口をはさむのはおかしい」(幹部)などと不満やいら立ちをあらわにした。政府の五輪関係者も「五輪で医療が逼迫したときの、専門家としての免罪符にしたいのでは」(組織委幹部)と皮肉った。

その一方で、世耕弘成参院幹事長が「言っていることは極めて専門家として当然のことだ」と評価するなど、尾身氏の主張に理解を示す声もある。同党若手も「このまま突っ走っていいのか。専門家を交えて政権全体で徹底討論しないと、国民の理解は得られない」と不安と懸念を隠さない。

尾身氏はそもそも、政府がコロナ感染対策の助言役として指名した専門家の代表だ。緊急事態宣言発令など重要な決定の際は菅首相の記者会見に必ず同席し、メモの棒読みで発信力不足が指摘される菅首相の代わりに国民に説明する役割を担ってきた。

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