ソニー「10億人とつながる」、利益1兆円の先の野望 エンタメ軸に拡大宣言、グループ連携がカギ
「現在、ソニーは世界で1億6000万人とエンターテインメントで直接つながっている。これを10億人に広げたい」
ソニーグループの吉田憲一郎社長は5月26日、オンラインで開催した経営方針説明会でこう宣言した。
業績はまさに絶好調。コロナ禍をものともせず、2021年3月期の売上高は8兆9993億円(前期比9%増)、営業利益は9718億円(同15%増)と、ともに過去最高を更新した。株式の評価益などもあり、純利益は初めて1兆円の大台を突破した。
業績の牽引役は祖業のエレクトロニクス事業から、ゲームや映画、音楽などのエンタメ系の事業に移っている。とくに巣ごもり需要でプレイステーション(PS)のソフト販売が伸びたことや、アニメ『劇場版「鬼滅の刃」』の大ヒットなどが利益を押し上げた。
今後3年間で2兆円を投資
かつてソニーは、エレキ事業で価格競争による採算悪化に苦しみ、景気の波に業績を左右された。価格競争の起きにくいエンタメに、エレキ事業で培ったテクノロジーを融合させ、サブスクリプション(定期購入)型ビジネスとして安定的に稼ぐ戦略を一段と推進する。
冒頭の吉田社長の発言にある、「1億6000万人」の内訳は定かでない。ゲームのプラットフォームであるPSネットワークの月間アクティブユーザーが、現在1億0900万人。ほかに展開する音楽配信などのプラットフォームのユーザーも合わせた数字とみられる。達成時期こそ示さなかったものの、これを6倍の10億人に増やすのは野心的な計画だ。
関連分野への投資は惜しまない。「エンタメ×サブスク」を軸に成長を持続させるため、今後3年で2兆円以上の戦略投資を進める。
投資の優先順位について吉田社長は、IP(アニメなどの知的財産)、DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー、消費者と直接つながる販売手法)、テクノロジーの順と明かした。
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