地銀「想定外」の好決算でも忍び寄る再編の足音

過半数が前期比増益だが、広がる地銀間格差

経営統合で基本合意し、記者会見した青森銀行の成田晋頭取(左)と、みちのく銀行の藤沢貴之頭取(5月14日、写真:時事)

「期初の段階では、ここまで良い着地になるなんて想像もつかなかった」

関東エリアの地方銀行の財務担当者は予想外の好決算に驚きを隠さない。

2021年3月期の地銀決算が出そろった。上場する全77社(グループ)のうち、半数を超える41社が前期比で最終増益。36社が減益となった。

地銀を取り巻く経営環境は厳しい。長引く金融緩和で低金利が続き、融資業務で十分な利ザヤを稼げない状況が続いている。そこに新型コロナ禍が追い打ちをかけ、融資先の業績悪化に伴って貸し倒れに備えた引当金が増加する構図だ。

コロナ関連融資が業績を下支え

そうした環境を反映して、2020年5月時点では大幅な減益を見込む地銀も多かった。ところが、2021年4月末には業績の上方修正が相次いだ。

想定以上の好決算の要因は大きく2つある。1つは、企業の倒産が大きく増えなかったことだ。

中小企業向けの政府の補助金などが功を奏したほか、銀行も積極的な融資で企業の資金繰りを支え、今のところ倒産の連鎖を防ぐことができている。飲食業や観光業の業況は依然として厳しいが、製造業などは業績の回復が早く、地銀も引当金をはじめとする与信費用を抑えることができた。

もう1つが、コロナ関連融資の利息収入が伸びていることだ。2020年4~6月ごろには企業からの資金繰り支援要請が殺到し、地銀の融資残高は大幅に増えた。中でも大きく伸びたのは、コロナ対応で創設された無利子・無担保の制度融資だ。

無利子・無担保というと、銀行の儲けがないようにも見えるが、政府から利子分の補給を受けているため、収益的にはプラスだ。さらに、返済が滞った場合には信用保証協会が肩代わりする。銀行側はリスクなしで融資できるため、大きく残高を拡大することができた。

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