数字が示す「日本人がコロナで脱東京」の虚構 東京の転出超過は外国人、日本人は7440人増

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都の発表を受けてあるメディアは「東京4月人口2万5000人減少」という見出しを掲げ、その背景として<新型コロナの感染拡大とともに都外に転出する人が増えた>と報じた。最近、目につく論調である。しかし内訳をみると、実態は少し異なることがわかる。

繰り返すが、「2万5000人減少」は外国人を含む総数である。日本人に限ってみると7440人の増加なのだが、その点にはいっさい触れていない記事も見られた。

確かに、都の推計として、3月中に都外に移った日本人は6万7007人で前年同月比6019人増えている。しかし、転入した日本人は前年同月比で減ってはいるものの9万1966人となり、転入者のほうが約2万5000人多い結果となっているのだ。

こうした事実に言及せず、3月の日本人転出者が増加していることを示すことで、「コロナ禍で転出増」を印象付ける記事が散見された。

総務省のレポートでも…

さらに、総務省統計局のレポート「新型コロナウイルス感染症の流行と2020年度の国内移動者数の状況(2)」でも、<2020年度の東京都の「転入超過数」は7537人で、2019年度の8万3455人から大幅に縮小し、前年度の1割にも満たない>と指摘している。

確かにそのとおりなのだが、このレポートが言及している数値も、あくまで日本人と外国人の移動者数を合算した総数である。2020年度の東京都の日本人に限った「転入超過数」を算出すると1万5237人。外国人を含む7537人と比べると印象はずいぶん変わってくる。

コロナ禍の1年間を通じて、東京都の「転入超過」の総数が大きく減ったのは事実だが、外国人の「転出超過」という要因を見落としてはならない。

コロナ禍にもかかわらず、東京都の日本人人口は増え続けているのが現実だ。

「コロナ禍で東京脱出」という現象は、確かに一部では存在しているが、世の中の流れを変えるような潮流とまではなっていない。むしろ、コロナ禍でも人口流入が続き、東京都には「村」1つに当たる規模の日本人が増えているのだ。

東京都からの転出者の増加は、人口減少のイメージを与えるが、数字のマジックのようなもの。総体として「一極集中」の構図に大きな変化が見られないことを見逃してはならない。

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