――その女性たちは、どのようにしてホームレスになったのでしょうか。
いくつかパターンがあります。夫との死別や離別によって単身となった女性が失業する場合、もともと単身の人が病気や高齢などで働けなくなる場合、夫をはじめ家族との関係がうまくいかなくなる場合などです。
中高年の女性ができる仕事は、低賃金の不安定労働に限られていますから、失業保険や厚生年金の対象にならない人も多い。働けなくなると、すぐに生活に困窮することになりがちです。
例えば、本人が失業したケース。60代の女性は、中学校卒業後に正社員としてガラス工場で働き始め、22歳で転職します。26年間勤めますが、そこでは失業保険や年金に入っていませんでした。
給料が上がらず生活が苦しくなったため、その会社を辞めて清掃のパートを2つ掛け持ちします。でも、アパートの家賃には足りない。友人からの援助で賄っていましたが、次第に友人宅に居候するようになった。その生活が10年ほど続きましたが、高齢になって仕事を解雇されると、友人への借金が気になって居候しづらくなり、野宿に至りました。
離婚によって貧困に陥るケースも
別の50代女性のケースは、こうでした。高校中退後、縫製工場に正社員として勤め始めます。18歳で専業主婦になり、4人の子供をもうけた。その後、35歳で離婚し、水商売を始めて3年後に独立。42歳で再婚しました。夫婦2人の収入があったため、その後は自らの子供と共にマンションで豊かに暮らしています。
ところが、女性は54歳のときに体を壊して店をたたみました。実は結婚直後から夫の精神的暴力に耐えていたのですが、末っ子が結婚したのを機に離婚し、家を出ます。しばらくはホテルやサウナに泊まっていましたが、所持金が尽きて野宿になりました。
もともと精神疾患や軽度の知的障害がある女性も一定数いて、人間関係のトラブルになりやすく、仕事が続かないという背景もあります。
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