5歳から育つ「メタ認知」が生きやすさを左右する 物事の「捉え方」しだいで、感情は変わるもの

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先の例でいうと、友達とケンカをするたびに、「いつも自分が悪い。これから誰も友達になってくれない」という捉え方をすることで悲しみや落ち込みも深くなり、恐ろしいことに、自分が望んでもいないのに、その捉え方が正しいと証明するような行動(友達を避けたり、卑屈になったり)をしてしまいます。

結果、「人は私から離れていく」というような信念を持ってしまい、その信念にもとづいた行動を人生で繰り返し、さらにその考えを強化していくというサイクルが生み出されます。ネガティブなサイクルを断ち切るためには、捉え方や行動を変えていく必要があるのです。

「メタ認知」は5~6歳から

子どもたちがどのような捉え方をしているかを知ることは、感情、そしてその後の行動までをも変える、非常に大きなチャンスとなることを意味します。そして、この捉え方は親からの言葉の影響を大きく受けますから、「グラスに半分も水がある」というプラスの捉え方を、適切な声かけで育てていくこともできるのです。

自分がどのような捉え方をしているのかを知るためには、自分の思考について気がつくことができる「メタ認知」の力が必要です。メタ認知は、一般的には5〜6歳から持ち合わせるようになり、9〜11歳までに育っていくといわれています。メタ認知は言葉の発達の影響を大きく受けますから、子どもたちの特性や発達によっても大きく変わります。

このメタ認知を育てるようなサポートが、物事のネガティブな捉え方に気がつき、一連のネガティブサイクルを断ち切ることにつながっていきます。

具体的には、物事をどう捉えているのか気づかせるような質問をしたり、捉え方がネガティブだった場合にポジティブな捉え方に変えていけるような声かけをしたりします。

最初は、子どもがある状況に対してどういう捉え方をしたのか、つかみにくいこともあるでしょう。イライラしていたり、落ち込んでいたりする様子は見えても、物事の捉え方や感情自体は外からは見えません。そして、子どもたち自身も自分がどういう捉え方をしたのか、なかなかわかりません。反射的に瞬時に起こる反応だからです。

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