パナソニック「縮小均衡決算」に復活は見えたか 6月に就任、「楠見新社長」を待ち受ける課題
そのあいだも中国や韓国など海外企業との競争で事業環境が悪化。不採算事業が発生し続け、2021年3月期までの最後の2年間も「モグラ叩き」(津賀氏)を迫られた。
半導体事業を台湾企業に売却し、2022年3月期中に液晶パネルや太陽電池の生産から撤退する。テレビ事業も3月までに国内生産を終了したほか、中国企業への委託生産交渉を進めて採算改善策を推し進める。
構造改革の効果は出始めている
構造改革の効果は出始めている。2020年10~12月の営業利益は前年同期比29.7%増の1302億円に。四半期利益が1300億円を超えるのは、IFRS(国際会計基準)に移行した2017年3月期以降では初めてだった。
2020年10~12月の売上高営業利益率も7.1%に達し、津賀氏は「従来出せなかった利益率を出せた」としたうえで、「構造的赤字事業の改革をきっちりやったことで、次の前向きな活動につながることを期待している」と話した。
ただ、津賀氏が率いた9年間は成長戦略に失敗し、売り上げ、利益ともに伸び悩んだことは大きな課題を残した。
津賀氏は社長就任後に車載電池と車載機器からなる車載関連事業を「高成長事業」と位置づけた。ところが、2020年3月期からの3カ年計画では収益性改善を目指す「再挑戦事業」へ格下げされ、2020年3月期には466億円の営業赤字に沈んだ。
津賀氏は「テスラとともに成長することが基本中の基本」という戦略に当初こだわり、EVや電池の量産がまだおぼつかない状態でテスラと共同で運営する巨大電池工場へ投資。さらに自動車部品メーカー世界トップ10入りを目指し、欧州メーカーの買収など車載機器事業の拡大も急いだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら