子どもを産んだ妻を夫が散々イラつかせる理由 戦闘中の女と平和な男、だから不機嫌に見える

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さて、いきなり命知らずの戦士になった妻たちは、当然のように夫を戦友扱いする。

おむつを替えていて、赤ちゃんが寝返りを打ったせいで、お尻拭きに手が届かない……!なのに、傍にいる夫が、ぼ〜っとしている。その瞬間、目から火が出るほど腹が立つ。

恋人気分のときには、「たっくん、とって〜」と声をかけていたのに、甘えて取ってもらうなんて思いつきもしない。そりゃ、そうでしょう、「私がヘリコプターのエンジンかけるから、たっくん、ドア閉めて〜、ちゅっ」なんていう戦闘チームがいる?

妻は、自分が「戦闘任務遂行中」の脳になっていることに気づいていないから、夫が急に、無自覚の役立たずになったような気がして、絶望する。

夫にしてみたら、青天の霹靂である。ひどいショックを受けもする。出産に伴うホルモン変化でまろやかな身体になって、いっそう優しそうに見える妻が、赤ちゃんには聖母のような笑顔を見せるのに、自分には鬼のような形相を見せるのだから(もちろん個人差はある)。

夫は、でかい、うるさい、手がかかる。

妻の脳は、その認識のレンジ(目盛)を赤ちゃんに合わせている。赤ちゃんの小さな身体、なめらかな肌を一日中凝視しているので、夕方帰宅した夫の顔を見て「でかっ」「脂っぽいっ」とびっくりしたりする。また、一日中、繊細なしぐさで赤ちゃんに接しているので、夫の歩く音がとてつもなくうるさく、ものをつかむしぐさがガサツに感じる。テレビでテロ事件の破壊映像が流れたりすると、強い衝撃を受けて、涙が止まらなくなることもある。

夫や世界が、急に暴力的になったわけじゃない。これもまた、妻側の脳の変化なのである。しかし、本人には自覚がないから、夫が急に無神経になったような気がして、絶望する。

そして、母性である。

母性とは、子どもを無事に育て上げるための本能。当然、母の脳は、子どもに自らの資源(時間、意識、労力)のすべてを捧げようとするのだ。

新婚時代、その多くを夫に捧げてきたのに、それがすべて子どもに振り分けられる。

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