近年になって増えているのは、後輪をモーター駆動で賄うモーター式の4WDだが、ヴェゼルはあえてフロントのエンジン部から後輪に向かってプロペラシャフトを備えた、古典的な機械式のシステムを採用している。これは燃費性能には不利だが、悪路走行という面では一日の長がある。降雪地域の人には嬉しい部分だろう。
ヴェゼルの最大の欠点は、価格だろう。ガソリン車であっても227万9200円スタートで、ハイブリッドになると265万8700円からとなり、BセグメントのコンパクトSUVというよりも、もうひとクラス上が狙える価格帯になっているのだ。ライバルよりも余裕のあるボディサイズや高められた質感により、価格も若干高めに設定されたのだろう。
激戦区だけに個性豊か
このようにひと口にコンパクトSUVといっても、モデルごとに個性は多彩だ。「絶対にこれが“買い”だ」というモデルがあるわけではなく、自分の好みや使い方を考えれば、細かい装備やスペックで比較せずとも、おのずと1台が浮かび上がってくるだろう。「サイズ」「デザイン」「用途」「価格」の観点から各車を見てみてほしい。
こうしてコンパクトSUVの顔ぶれを並べて気づくのは、トヨタの底力だ。ジムニーシエラという個性派しかいないAセグメントSUVに、王道的な乗用SUVであるライズ/ロッキーを投入して大ヒットさせたのは見事な戦略だ。
そして、Bセグメントにはヤリスクロスを用意し、さらにその上のクラスにC-HRやRAV4、ハリアーをずらりと並べる。そんなラインナップの層の厚さが、2020年のトヨタの国内販売の強さの理由だろう。
また、マツダもCX-3だけでなく、すぐ上にCX-30、MX-30、さらにはCX-5、7人乗りのCX-8を用意するなど、SUVへの注力は顕著だ。それに対してホンダや日産、スバル、三菱のSUVラインナップの薄さが気になる。
トレンドを探して、そこにあらんかぎりの力を注ぐトヨタ。世界一をうかがうメーカーは、国内市場への対応も一切容赦ないというわけだ。さすがトヨタということだろう。
