予約殺到!ANA夏休み深夜限定便のカラクリ 羽田―沖縄、片道9700円はこうして実現した

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ANAはギャラクシーフライトの予約を4月25日に開始したが、7月中旬までに総席数の8割以上がすでに予約で埋まっている。激戦区、かつ、那覇空港の発着時間が公共交通機関の動いていない不便な時間にもかかわらず、である。

「事前の想定を上回る好調ぶりで、18~30歳ぐらいの若いお客が通常便よりも1割程度多いという特性もある」(ANAの鬼久保大輔レベニューマネジメント主席部員)

人気の理由は運賃の安さにある。最安は片道9700円。通常の昼閒便における最安運賃と比べても半額程度の割安な設定となる。これは大手に比べて安い運賃を特徴とするスカイマークと同等程度だ。

成田国際空港発着のため単純な比較はできないが、成田―那覇便を運航する格安航空会社(LCC)であるバニラ・エア、ジェットスター・ジャパンの運賃とも大差がない。ANAのマイルも通常どおりに積算される。

期間限定便の意外な正体

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ANAが那覇に構えるハブ拠点

もちろん、うまい話ばかりではない。ペットの預かりや他空港からの乗り継ぎチェックイン、ラウンジの利用、プレミアムクラスの販売などといった通常便で可能な一部のサービスは制限される。

また、便によって座席数は200前後で変動し、一部の座席は手荷物を預けられない。

こうした各種の制約が、低運賃と表裏の関係にある。実はギャラクシーフライトの正体は貨物便なのだ。ANAは那覇に航空貨物のハブ拠点を持っており、深夜のうちに全国の空港から貨物便が到着する。そこで集めた荷物を国内外に中継し、朝までに各地の空港へと戻っていくというモデルを確立している。ミソは羽田―沖縄の貨物便が貨物専用機ではなく、旅客機を使ってきたことにある。

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