イーロン・マスクの盟友が見通す2030年の世界

衝撃的な10年後の未来図とそれに備えた対処法

ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)Xプライズ財団CEO、ベンチャーキャピタリスト/ マサチューセッツ工科大学で分子生物学と航空工学の学位、ハーバード・メディカルスクールで医学の学位取得。22のスタートアップ企業設立。1994年創設で主に民間宇宙開発を支援するXプライズ財団は、20年来の友人であるイーロン・マスク(スペースXやテスラのCEO)、ラリー・ペイジ(グーグル創業者)らが理事を務める(撮影:Matthew Rutherford)

――旧態依然とした産業も変革が進むということですね。

例えば保険を例に考えると、今は火事や盗難による損失を被った後でお金を受け取るために掛け金を払うシステムだが、将来はそもそも火事や盗難自体をAIやセンサー、ロボットの組み合せで防いでくれる。70代、80代で死亡した時にお金が支払われる生命保険も、将来は100歳、120歳まで生きるのが普通になる時代になるので、それに合わせてより長い寿命を実現してくれるものに変わっていく。

小売業もAIとVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のテクノロジーが合わされば、店舗でのショッピングはもちろんネットショッピングさえ、没入型の買い物体験に取って代わられるだろう。合理的に統合されたテクノロジーとデータによって、企業だけではなく消費者も商品の価格が下がったり、嗜好に応じたカスタマイズ商品が手に入りやすくなったり、恩恵を感じることができる。一方、このような変化に適応できない旧弊の企業や産業のほとんどは困難を抱え、やがて滅びていく。

つねに実験を怠らないリーダーが必要だ

――劇的な変革期の中、理想的な未来のリーダー像は。

変化に直面した時、余裕をもって機敏に対応しなければならない。それには、将来に関して適応力に富む明確なビジョンを持ち、データを根拠に決断を下し、つねに実験を怠らないリーダーと企業が最も大きな成功を収められる。このようなリーダーは、自分自身や自分の会社を野心的な変革目標の下に据え、それに突き動かされるように自らが望む未来を構築していけるだろう。

――新型コロナウイルスが世界に及ぼした影響は。

変化のスピードを劇的に加速させた。2020年1月にアメリカで本書が刊行された時、本書が展望していたのはこれからの10年でした。私は、今回のパンデミックによってある種のテクノロジーの変化のスピードは少なくとも3~5年早まったと考えている。

ZoomやMicrosoft Teamsなどのプラットフォームの利用をはじめとする急激な変化の多くは今後も続く。これからの仕事のあり方を考えると変化は特に顕著で、労働人口の分散と移動がすでに恐るべきスピードで進んでいる。これにより従業員は地球上のどこにいようと一緒に働けるのだから、世界の結びつきはどんどん緊密になっていく。

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