松山効果だけじゃない、ゴルフ「大活況」のわけ グリップ不足で生産がブームに追いつかない

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こうした活況ぶりに、業界関係者は一様に驚嘆の声をあげる。「数年前から業界を挙げて初心者や若者ゴルファーを増やす活動をしたが、何も響かなかったのに一変した。急に市場が伸びて、すごいことになった」(ゴルフ5を運営するアルペンの坪井勧之介ゴルフ商品部部長)。

ゴルフブームは日本だけにとどまらない。ゴルフ用品メーカー「ピンゴルフジャパン」によると、世界一のゴルフ大国であるアメリカでは、2021年1~2月のゴルフ用品市場が前年同期比で7割増と急拡大している。

市場が活気づく反面、ゴルフ用品の販売現場で起きているのが品不足だ。ゴルフ用品メーカー「キャロウェイゴルフ」の菅野泰臣ブランドコミュニケーションズディレクターは、「実売は好調で追加注文ももらっているが、量販店からの受注に100%は回答できていない」と話す。

需要急増で生産体制が逼迫

これは「うれしい悲鳴」ではない。新商品の発売遅延も発生しているからだ。同社が「オデッセイ」ブランドで3月に発売したパターは、予定より発売日を1~2週間遅らせざるをえなかった。

いったい何が起きているのか。原因としてまず挙げられるのがゴルフクラブの生産体制の逼迫だ。

ゴルフクラブは、ボールを当てるヘッド、柄となるシャフト、クラブを持つ部分のグリップから成り立つ。これらのパーツは中国をはじめ、海外にあるOEM工場で製造されることが多いが、その生産が追いついていないのだ。

中でもグリップの生産が逼迫している。これまではゴルフ市場の成長性が低かったうえに、アメリカのゴルフプライドとラムキンがグリップの世界シェアを二分していたため、各社の増産意欲は低かった。急激な需要増に対応できるほどの生産余力はそもそもなかった。

しかも台湾とタイに工場を持つゴルフプライドは、2020年春の時点で工場労働者の一部解雇や生産停止措置を取り、在庫を調整していた。グリップは金型でゴムを押し出すなどして作られるため、生産能力は機械に一定程度依存する。注文が急増しても、大幅な増産は難しい。

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