体重当たりに換算すれば、日本人は欧米人の3割から5割増しのワクチンを投与されていることになる。これは欧米での投与量の40~45㎍に相当する。筆者の周囲の若年の医療従事者の多くが、倦怠感や悪寒を生じたのも納得できる。
幸い、若年者は体力がある。多少副反応が出ようが、乗りこえることができる。一方、高齢者は臓器の予備力が低く、体力もない。さらに、若年成人と比べて、10%程度体重は減少する。彼らに欧米人並みのコロナワクチンを投与すれば、どのような副反応が生じるか予想できない。
これまで、私が知る限り、ワクチンが国内外で異なる用量で用いられているケースはない。おそらく、これまでのワクチンは相当に安全性が高かったのだろう。
コロナワクチンはわからない。これまで臨床応用されたことがないmRNAベースのワクチンだからだ。日本は、国際共同研究の結果を基に特例承認することなく、独自に第1相臨床試験を実施したのに、この試験では30㎍が投与されただけで、用量設定試験は実施しなかった。安全性について検証するせっかくの機会を失った。
厚労省に求められる正確な説明
もちろん、厚労省にも言い分はある。安全性の観点から海外より少ない20㎍が適切な投与量となった場合、その量での有効性を再度、第3相臨床試験で検証しなければならないからだ。ファイザー社は実施しないだろう。これでは日本にワクチンが入ってこない。
重要なのは、このような苦しい事情を、国民に正確に説明することだ。そうすれば、国民が問題点のありかを認識できる。持病をもつ高齢者はかかりつけ医で接種してもらい、主治医はワクチン接種量を減量することも可能だ。また、副反応が強ければ、早期に解熱剤、鎮痛剤を投与することもできる。要は、問題を認識すれば、それぞれやりようがあるのだ。高齢者の接種でのワクチン投与量について、再考が必要だと問題提起したい。
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