また発令地域も大阪府、京都府、兵庫県、東京都だけでなく、NPB球団の本拠地がある千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、福岡県などに広がる可能性もある。これによって「無観客試合」がこれ以上増加すれば、経営危機に陥る球団も出てきかねない。
斉藤コミッショナーは「プロ野球やJリーグが、監視されない中で集まったり飲食したりするグループなどと一律に同じ条件にされてしまうのは、どうしても納得がいかない」と言ったが、首肯できる話だ。
NPBが迫られる次の「一手」
それを考えれば、NPBは別の決断をすることも求められる。
今季のNPBのペナントレースは、7月15日から8月12日まで約1カ月中断することになっている。この期間に行われる東京オリンピックに配慮してのことだ。DeNAの本拠地である横浜スタジアムは野球競技の会場になる。
また神宮球場はオリンピック関連の車両、機材置き場になる。他球団は東京オリンピックに国民の耳目を集めるために、試合をしないことになっている。昨年はこの間に約150試合を消化した。
日本のプロアマ球界は一致協力して、東京オリンピックに野球競技を復活させるべく日本オリンピック委員会(JOC)に強力に働きかけた。その甲斐あってIOCは、野球、ソフトボールを競技として復活させた。
そうした経緯もあって、NPBは東京オリンピックに全面的に協力しているわけだが、すでに東京オリンピックを予定通りの形式で開催するのはかなり厳しくなっている。「無観客試合」で国に出血覚悟で協力しても、東京オリンピックが開催されなければ、1カ月弱のブランクは、何の意味もなくなってしまう。
今後、緊急事態宣言の期間や地域が拡大されるようなら、NPB、各球団は「無観客試合」ではなく、スケジュール変更をする手もある。状況によっては、ブランクを想定していた期間に試合を振り替えたり、感染対策を徹底したうえで地方球場で試合を行うことも考えてよいと思う。
NPBは「払い戻しの手数料だけでも補填してほしい」と言っているが、政府は「無観客試合」を要請するだけで、入場料の損失補填をするとは発表していない。「公共財」であるプロ野球の維持のためにも、NPBは厳しい決断が求められそうだ。
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