ドラゴン桜が推薦「青春の意味を考える」3冊 スポーツ漫画やバックパッカーの「バイブル」も

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『深夜特急』沢木耕太郎 新潮文庫

私は乗り合いバスに揺られてここまで来た。乗り合いバスがここまで連れてきてくれたのだ……。

デリーからロンドンまで、乗り合いバスで行こう。そう思い立った「私」は、仕事をなげうって旅に出た。

ユーラシア大陸を放浪する2万キロの旅を、私的な視点から描いたノンフィクション作品。世界を放浪する「紀行もの」はドキュメンタリーの定番だが、その原型を作ったのはこの本だ。

日本から香港へ渡り、バンコクやシンガポールを経て、「私」はなんとかインドへ入る。そこは生と死が隣り合わせるまさに異文化の地。「私」は価値観を揺さぶられながら、シルクロードを西へ西へ。トルコからギリシャ、ポルトガルなどへ立ち寄りながら、ロンドンへたどり着く。

膨大な出会いと別れを含む旅は、「私」にとってまるで人生を凝縮したような体験となった。「私」のように実地に体験するのがいちばんだろうが、誰しも同じことができるわけじゃない。せめて旅のエッセンスをお裾分けしてもらおうと思うなら、やはり本というかたちは最適だ。1行ずつ読み進めていく行為は、一歩ずつゴールへ向けて進む「私」の軌跡とシンクロする。

インドで現地の人にバス乗り場を尋ねた「私」は、なぜバスで行くのか、鉄道のほうがベターだろうと諭される。

「でも、バスで行きたいんだ」と主張するしかない「私」。そう、バスでデリーからロンドンまで行くという行為には、明確な理由や目的なんてない。

「まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ」と「私」は思う。彼のように真剣に酔狂なことをするのは、青春のうちにしかできないこと。そうした無鉄砲ができるところにこそ、青春の値打ちはある。

『深夜特急』まとめ

いかにも青春らしい行為は、ちゃんと体験しておいたほうがいいな。それは一生の財産になるだろうから。

青春するのに実年齢は関係ないぞ。本書の著者も旅に出たのは26歳のときと遅めだった。青春とは、心の持ちようなのだ。

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