中国の「アップルカー」目指すシャオミの野望

アリババやファーウェイなど様々な企業も参入

雷CEOは投資家としてもその眼力が高く評価されており、中国メディアによると、IT業界では「経験豊富で慎重な雷CEOが熟慮を重ねて決断した以上、勝算があるのだろう」との見方が多いという。

雷CEOは進出表明時に「(シャオミを創業した)10年前と同じような勇気、覚悟、そして体力があるのか、自問自答を繰り返した。これまでの75日に、200人以上の自動車業界関係者と意見交換し、取締役会で2度議論し、自動車製造参入を決めた」と語った。

今年初めにシャオミの自動車進出の噂が流れ始めて以降、雷CEOが長年にわたって自動車分野で布石を打ってきたことも、徐々に明らかになった。中国の第1次EVブームは大気汚染が社会問題化した2013年、政府が新エネルギー車購入に補助金を導入したことで火がついた。

雷CEOの行動がテスラのブランド力向上に

雷CEOはその年、テスラの創業者イーロン・マスクCEOと会い、モデルSを4台購入してうち2台を起業家仲間に贈った。起業家の「兄貴」「メンター」的存在として人望を集めていた雷CEOのこの行動で、テスラが中国IT界隈でブランド力を高め、さらにはIT経営者のEV業界転身につながったと言われている。

先に紹介した中国新興EV御三家の創業者はいずれもIT業界出身で、そのうちNIOと小鵬汽車については、雷CEO自身が設立したファンドやシャオミを通じて創業当初から資金面でサポートしてきた。NIOが2016年11月に最初のEV「EP9」を発表したときは、雷CEOは1億円超という価格にもかかわらず即購入した。2020年に小鵬汽車が上場したときにも、セレモニーに駆け付けた。

雷CEOのファンドは、他にも多くのEV関連企業に出資している。今年2月にはシャオミが無線通信ネットワーク、デジタルデータ送信、交通制御システム、距離測量、ナビゲーションシステムなど、自動車関連の特許を834件保有していることも明らかになり、雷CEOが中国の先駆者の挑戦を支えながら、EV業界の洞察を続けてきたことが裏付けられた。

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