本当に日本より充実?欧州鉄道のバリアフリー 古い駅は対応できず、代わりにバス整備の例も

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まず、北欧各国における鉄道利用時の規約について紹介しよう。これらはいわゆる「国鉄」、日本のJRに相当する鉄道の規約で、地下鉄やトラムなど、地域輸送における規約は少々異なる。

【フィンランド】
・サポートが必要な場合カスタマーサービスに36時間前までに電話でスタッフ予約
・利用できる駅は限定
・乗車列車やどんなサポートが必要か事前に伝える
・サービスの利用は無料
・遅くとも20分前までには駅に到着する必要がある
・セキュリティ上の理由でアシスタントが車いすへの乗降をサポートすることはできない
【ノルウェー】
・24時間前までに電話で予約が必要(無料)
・主要駅のみサポートが可能
・どこまでのサポートが必要か事前に伝える
・車いすの形や重量など詳細が必要
・乗降サポートのみ必要な場合は予約不要、ただ事前連絡が望ましい
・要件を満たしていない利用者は乗車できず、代替輸送サービス(ほかの交通機関)の提供もできない
【スウェーデン】
・24時間前までに予約が必要(無料)
・すべての駅でのサポートは不可
・すべての車両に車いすスペースはない(一部利用不可)
・車いすの形や重量によっては乗車不可(採寸は利用者自身の自己申告制)
・要件を満たしていないことが現場で判明した場合、乗車を断る場合がある
・車いす利用の場合、ほかの荷物は20kg×2までに制限
【デンマーク】
・12時間前までに電話による事前予約(無料)
・主要駅のみ対応可能
・列車/ホームでのサポートは運転士が行う
・一緒に持てる荷物は20kg1つまで

鉄道が「主要交通」ではない

北欧4カ国の鉄道利用の規約を見ると、サポートにはすべて事前の予約が必要となっている。

デンマークの長距離列車。低床車も導入されているが全車両ではなく、大きい荷物を持っていると健常者も乗り込むのに苦労する(筆者撮影)

北欧各国は、確かに首都やそれに準ずる大都市においては、公共施設や街中の建物に至るまで、どこもほぼ段差もなくバリアフリー対応になっている。だが、鉄道は地方のローカル駅の場合は対応できない(限られた大きい駅のみ対応可能)と公式ホームページに明記している。

北欧については、そもそも鉄道がこれらの国の主要な交通機関ではなく、日本のように網の目のように路線網が発展しているわけでもないので、サポートが必要な人の大半は自家用車、もしくはタクシーで移動している点が日本とは異なる。

目的地の状況によって、鉄道は最初から選択肢から外れる、というわけだ。

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