小学生で「ヤングケアラー」となった彼女の苦悩

「親を子育て」今も虐待後遺症や精神疾患に悩む

「アルバイトして貯めたお金で心療内科のクリニックに通ったりしていました。本末転倒というか、滅茶苦茶なんですけれど(笑)。でもそこで出してもらった薬も強すぎちゃって、授業中に眠ってしまったりして。もうフラフラな状態で、どうにかこうにか卒業できた、みたいな感じでしたね」

残念ながら当時、亜希さんが置かれた厳しい状況を理解する先生はいませんでした。症状や薬のことを相談したら「病気を言い訳にするな」と突き放されたことも。信頼する先生に家の事情を話したところ、「(親との関係について)お前は間違っている」と笑われてしまったこともありました。

YouTubeでたまたま見た○○○○に勇気をもらった

高校を卒業後、亜希さんはいくつかの仕事を経験してきました。いじめの影響もあってつねに人の目が気になり、さまざまな症状を抱えつつ薬を飲んで、なんとかやっていたそう。そんなつい数カ月前、気持ちが少し上向くきっかけがあったといいます。何があったのでしょうか。

「プロレスにハマったんです。真壁刀義さんってご存じですか? タレントもされている、現役のプロレスラーの方なんですけれど。私自身、今年に入ってからいろいろあったんですね。もう人生終わりにしようと思って、首を吊ったんですけれど。なんかこう諦めきれなくて、ただただ時間を潰すためにYouTubeを見ていたら、その方のチャンネルが『オススメ』とかに出てきて。それではまっていって、勇気をもらった感じでした。

真壁さんは新人時代に理不尽なしごきを受け続けていたんですけれど、『自分は後輩に同じことはしない』っていう強い決意があったそうなんですね。だから真壁さんの後の世代の新人には、そういう理不尽ないじめがなくなったというエピソードがあって。ネットでその話を知って、すごく勇気をもらって。悪いものは次の世代に継承しないという、そういう決意や覚悟をくれたんです」

まさかの、プロレスでした。申し訳ないのですが、筆者はあまりにも門外漢なため、熱く語り出した亜希さんにひたすらあいづちを打つことしかできなかったのですが、それが亜希さんに大きな力を与えてくれたことは、よくわかりました。

「ずっと自分の存在を許せていなかったんです。母からは『生まなきゃよかった』とか言われて、家でも学校でも否定され続けてきたので、もはや死にたいとかじゃなくて、『私の存在をもともとなかったことにしたい』という感覚があって。だから、疑問に思うことがあっても、表現なんてしようとは思えなかったですし。

真壁選手も、プロレスの世界で必要とされない不遇の時代が長かったんですけれど、そこで腐ったりあきらめたりせず、ただ淡々とやるべきことを真面目にやり続けて、結果、花を咲かせている。それを知ったら、私も自分の存在を責めたりしている場合じゃないなって。何かにつながらなくても、やれることをやっていこうと思って」

なぜ、こんなにもハマっているのか。最初は亜希さん自身にもわからなかったのですが、真壁さんやプロレスから受け取ったメッセージの意味に気づいたとき、自分でも腑に落ちたということです。

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