憧れの列車「ロマンスカー」撮り続けた半世紀 SEからGSEまで秘蔵写真でたどる小田急特急史
1980年代後半、JR発足のころは青函トンネルや瀬戸大橋開通など、鉄道界が明るい話題にあふれていた。その中で登場したのが「HiSE」10000形だ。それまでのロマンスカーのイメージを一新する白とワインレッドの塗り分け、床面を高くしたハイデッカー構造など、当時の流行をとりいれた設計だった。
ハイデッカー構造が災いし、バリアフリー対応が難しいことから先輩のLSEよりも早く2012年までに全編成が引退したが、2006年に2編成が長野電鉄に譲渡され、4両に短縮されて活躍を続けている。
次いで1991年、それまで御殿場線乗り入れ「あさぎり」に長年活躍したSE車の置き換えとして登場したのが「RSE」20000形だ。SE以降では初めて連節車ではなく一般的なボギー車となり、展望席もないものの、2階建て車を2両連結した迫力のある編成だった。同時に「あさぎり」は運転区間が沼津まで延長され、さらにJR東海との相互乗り入れとなった。JRの「あさぎり」用371系は、パステルカラーで柔らかい雰囲気の小田急RSEとは異なるシャープなデザインで、両車の競演も楽しみだった。
これらの車両も2012年に引退し、現在活躍しているのは1996年登場の「EXE」30000形以降の車両だ。
思い出の車両はどれ?
一番好きなロマンスカーは?と問われれば、筆者はNSEを挙げたい。オレンジとグレーの塗装をまとった展望席付きの優美な流線型車体はやはり名車である。現役車両では「VSE」50000形が最高傑作であろう。重厚感のある白いボディ、連接構造と展望席という伝統を受け継いだ構造は「ロマンスカーの集大成」と言っても過言ではないだろう。
「MSE」60000形も好感の持てる車両だ。地下鉄乗り入れ対応特急という点で画期的なのはもちろんだが、御殿場線に乗り入れた際、富士山をバックに走るメタリックブルーの姿も美しい。その点で少し残念なのは、最新型の「GSE」70000形だ。優れた車両だが、車体の塗装はせっかくならロマンスカーの伝統を受け継いで、オレンジとグレーのツートンカラーにしてほしかった。とはいえ、引退車両から現役車両まで個性ある名車揃いである。
「ロマンスカーミュージアム」の建設が発表されたときは「とうとうできるのか」と感慨深かった。私鉄特急の歴代車種すべてが見られる博物館の誕生は喜ばしく、それだけロマンスカーのファンが多いということでもあるだろう。これからも憧れの列車であり続けてほしいものである。
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