鉄道脱線事故から見えた台湾社会の「安全意識」 現地で暮らして感じる「リスク感覚」の違い
台湾東部の花蓮県で4月2日に発生した台湾鉄道の特急列車「太魯閣(タロコ)号」の脱線事故は、乗客乗員498人中、49人が死亡、200人以上が負傷するという大惨事となった。
台湾の運輸安全調査委員会は4月6日、列車の先頭車両に取り付けられていたカメラの映像を公開したが、そこには先頭車両が線路を塞いでいたトラックと衝突した後、左に傾きながらトンネルの壁に激突するまでの様子が映っていた。
台湾の鉄道史上最悪とも言われる事故が発生した4月2日は、伝統的な墓参りの日とされる4月4日の「清明節」を挟んだ連休の初日にあたり、台湾鉄道の各車両は、帰省や行楽のため各地に向かう人々で混み合っていた。事故を起こした「太魯閣号」408列車は台北市近郊・新北市の樹林駅を午前7時過ぎに出発し、4時間近くをかけて午前11時10分に台湾本島東南の台東駅に着く予定だった。
台湾東側では鉄道が大きな役割
台湾本島の交通は、台湾海峡に面した西側と太平洋に面した東側でその事情が大きく異なる。西側は人口の多い台北・台中・高雄の大都市圏を、南北に走る台湾版新幹線の台湾高速鉄道、台湾鉄道の在来線に加え、複数車線の高速道路網が結んでいる。これに対して、東側は中央山脈の断崖が海岸線の手前まで迫る地形の場所もあり、西側に比べて人口も少なく、台湾鉄道の在来線と省道のほか、国内航空路線によって西側の大都市と結ばれている。
鉄道やバスの運行密度が高く、利便性も高い西側に比べ、東側の交通は選択肢も限られており、今回事故を起こした「太魯閣号」は台北と東部台湾を結ぶ大動脈の重要な一環を担っていた。
台湾では、2018年10月に発生した「普悠瑪(プユマ)号」の脱線事故で18人が死亡、200人以上が負傷した件の記憶も新しく、今般の事故発生後、台湾鉄道の安全管理のあり方を疑問視する声が上がった。台湾最大の通信社・中央通訊社は事故当日、過去40年間に台湾鉄道で発生した十大事故を振り返る記事を配信したが、これによると2000年以降、今般の事故も含め脱線や衝突のほかに、爆発物による事故など少なくとも7件が発生している。
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