人気オンラインサロンは「信者の集合体」なのか 顧客を"信者"に変える時代のブランド戦略

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働く意味、遊ぶ意味、生きる意味。混沌とした世の中において、人々は生きる意味、働く意味を見失っている。

カルトブランドは「意味」を提示する存在である。意味を求めてさまよう現代人を、意味を提示することによって導くのである。宗教と同じように。

意味の提示は、課題の設定ともややニュアンスが異なる。カルトブランドは社会課題を解決するために存在していることもある。しかし、もう一歩踏み込んで人間の根源的な欲求を満たしたり、文化的な生活を実現させたりしてくれる存在であることも多い。

このブランドについていけば、人生に意味を見出すことができるのではないか。人々は、カルトブランドにこうした期待を寄せる。意味を求める現代人にとって、カルトブランドは道を示してくれる、なくてはならない存在なのだ。

新型コロナに振り回される人たち

情報の透明化が進む一方で、新型コロナのパンデミックは、世の中には不確かな情報も多いという事実をわれわれに示した。そもそも、あらゆる情報は、起こった事象について人間が後付けで解釈したものである。それが正しいとは限らないし、表に出ていない情報も多く存在する。つまり「すべては不確かである」という点のみが、確かな点なのだ。

『カルトブランディング 顧客を熱狂させる技法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

パンデミックについては、新型コロナウイルスが持つ特性や新型コロナウイルス感染症の症状など、わからないことが多すぎた。情報に振り回されたのは国民だけではない。行政も不確かな情報をもとに、判断したりお願いしたりといったことが求められた。こうした状況下では、“結果的な判断ミス”も当然起こりうる。正解のない世界にわれわれは生きているのだ。

何を信じればいいのか、誰にもわからない。だからこそ、カルトブランドの存在は、人類にとって大きな意味を持つ。すなわち、「信頼できる数少ない心のよりどころ」である。ブランドと宗教がよく比較される理由の1つは、ここにある。

カルトブランドには信念やビジョンがある。核となる部分が変わることは絶対にない。だからこそ、カルトブランドの導きに安心して従える。「変わらない安心感」は、人々に心の平穏をもたらすのだ。

田中 森士 株式会社クマベイス代表取締役CEO、コンテンツマーケティングコンサルタント、ライター

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たなか しんじ / Shinji Tanaka

1985年熊本市生まれ。熊本市在住。熊本大学大学院で消費者行動を研究後、熊本県立水俣高校の常勤講師(地理・歴史)、産経新聞の記者を経て、2015年にコンテンツマーケティングのエージェンシー・株式会社クマベイスを創業した。セミナーやワークショップ、講演活動にも積極的に取り組む。Forbes JAPAN Web版、日経クロストレンド、Yahoo! ニュース個人などで執筆中。

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