オバマの“画期的な”医療保険改革法が成立、だが有権者に高まる不満、中間選挙は苦戦必至

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 バラク・オバマ米大統領がこの3月に署名した医療保険改革法について、歴史家は“画期的(momentous)”と称しているが、この法律をめぐって全米の有権者の評価は大きく割れている。今年11月の議会中間選挙で、オバマ政権と与党民主党は深刻な打撃を受けることになりそうだ。

この法律はオバマ政権が昨年夏に議会を通過させようとした法案に比べると、かなり問題の多い内容になっている。オバマ大統領はその法案署名にこぎ着けるため、議会の支持を得ようとして貴重な時間を潰さざるをえなかった。その法律を通したあとに選挙民が強く求めている雇用対策など、他の重要な法案を議論する時間をなくしてしまったのだ。これは野党共和党には有利に働く。

というのも、今回の法律によって連邦支出が相当規模に拡大し、連邦財政赤字が無責任に膨らむことを有権者に訴えることができるようになり、これまでオバマ大統領を支持していた無党派層がその放漫財政に対して「ノー」を突き付ける可能性が高まるからだ。

現にオバマ大統領と与党民主党の支持率は一貫して低下している。

最近のギャラップ調査によると、オバマ政権の業績評価ではその不支持率が初めて50%に達した。12カ月前にそれは31%だった。逆に支持率は12カ月前の61%から49%に下がっている。医療保険改革法に対しては50%以上の有権者が反対し、その多くは法律自体の撤廃に賛成しているのである。

今回の法律によって保険でカバーされる範囲とその内容がむしろ悪くなり、費用もかかると思う有権者は多い。特に費用の点についてオバマ大統領はかねて急激なコスト増を伴わない改革と主張してきただけに、政権にとっては痛手が大きい。

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