三菱自動車の前期は大幅増益だが、販売不振と資材費低減の未達で増益幅は従来予想以下に。今期は営業益続伸か
三菱自動車の前2010年3月期の営業利益は、従来の会社計画、「会社四季報」春号(3月発売)の予想を下回る、138億円(前期比3.5倍)となったようだ。会社が業績の見通しを修正した。世界的な景気後退の影響で自動車の販売は10%程度落ち込んだが、資材費低減や人件費抑制により大幅な増益となった。「東洋経済オンライン」は、前期の予想数字を会社修正値に合わせる。
三菱自動車の益子修社長は、従来から「(前期計画の)営業利益300億円という数字は変えない。十分達成できる」としていたが、10年3月期を終えて、「小売りは予想通りだったが、卸売りで1.8万台の出荷の遅れがあった」(広報担当者)もよう。アジアや中東地域での販売台数減と、購買見直しなどの資材費低減も計画に未達だったことから、従来の会社営業益予想の300億円、「会社四季報」独自予想の200億円をさらに下回った。
一方で、経常利益は会社の従来予想どおり、150億円に近い数字で落ち着きそうだ。現時点で詳細な説明は得られていないが、為替差益が想定以上に出たためとみられる。
続く今11年3月期は、アジアをはじめとする新興国での販売の持ち直しにより、営業益は倍増近くまで拡大する、と「東洋経済オンライン」ではみている。また10年2月に発表した小型SUV車「RVR」を、順次各地域に投入していき、年間8万台の販売を目指す。一方で、仏プジョーシトロエン社との業務提携も進んでおり、秋口からは電気自動車「i−MiEV」のOEM供給、ロシア合弁工場でSUV車「アウトランダー」の生産などを開始する予定だ。
ただ、三菱自動車の新車は2月に発表したRVRのみで、今期の発表予定はない。その点では寂しい1年となりそうだ。「東洋経済オンライン」では今11年3月期の予想を以下のように修正するが、4月27日の決算発表以後、「会社四季報」夏号の取材によって予想数字を見直す可能性がある。
なお、三菱自動車は、販売契約の解除を通告したエジプトの販売会社から、契約解除は非合理的だとして9億ドル相当の損害賠償を求める訴訟を受けた、と発表した。三菱側は原告の主張には正当性がないと主張しているが、今後の係争の行方によっては業績に影響が出る可能性もある。この販売会社での売り上げも含め、三菱自動車はエジプトで08年に7771台、09年に3250台を売り上げている。
(松浦 大)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2009.03 1,973,572 3,926 -14,926 -54,883
連本2010.03予 1,440,000 13,800 12,900 4,700
連本2011.03予 1,650,000 30,000 25,000 15,000
連中2009.09 573,029 -32,502 -34,189 -36,404
連中2010.09予 715,000 13,000 11,000 7,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2009.03 -9.9 0
連本2010.03予 0.8 0
連本2011.03予 2.7 0
連中2009.09 -6.6 0
連中2010.09予 1.3 0
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