ホンダ、「N-BOX」絶好調を手放しで喜べない事情 登録車販売は精彩欠き、軽比率がさらに上昇

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軽自動車で儲けにくいのは販売店も同じ。販売店関係者からは「N-BOXのような人気車種があること自体は非常にありがたいが、新車販売で登録車ほどは利益が出ない。車検や点検などアフターサービスの面でも軽自動車は単価が安い」との声も聞こえてくる。

登録車はフィットもベスト10圏外に

軽の販売が好調な一方で、ホンダは本来の主戦場であるはずの登録車で苦戦が続いている。国内登録車販売は2016年(38.3万台)から減少傾向が続き、2020年は新型コロナの影響もあって30万台を割り込んだ。

2020年のメーカー車名別の登録車販売ランキング(日本自動車販売協会連合会調べ)を見ると、ホンダ車で上位15位までに入ったのは、フィット(4位)とフリード(7位)の2車種のみ。登録車におけるホンダの存在感は以前より確実に薄れており、中部地方のホンダ系販売店の店長は「いくらN-BOXが売れても、軽はしょせん軽。登録車でヒット車種が出てくれないと、ホンダのブランド力は上がらない」と嘆く。

登録車で数少ない売れ筋車種のフィットも足元では販売が失速。2020年2月のフルモデルチェンジ直後は台数を伸ばしたが、2021年1月は全登録車の中で10位、2月は12位にまで順位を落とした。小型登録車であるフィットの主たる購入者は女性だが、「年末に登場した新型N-BOXの評判がよく、そちらに流れるお客さんが少なくない」(複数の販売店)。

4月に投入するコンパクトSUV「ヴェゼル」の新型モデル。精彩を欠くホンダの登録車販売で起爆剤になるか(写真:ホンダ)

そうした中、登録車でのホンダ復権のカギを握るのが、4月に発売する予定のコンパクトSUVの新型「ヴェゼル」だ。2013年の発売後、SUV部門で国内年間販売台数1位を3回獲得した主力車種の1つで、今回が初のフルモデルチェンジになる。

ガソリン車とハイブリッド車(HV)の2タイプから選べる点は前モデルと同様だが、新型は内外装のデザインを一新。カーナビの地図が自動で更新される機能や、スマートフォンが鍵の代わりとなる「ホンダデジタルキー」といったコネクテッド技術を充実させたほか、最新の先進安全装備も搭載した。 

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