日経平均の「底値」を2万7000円程度にする理由

株価が短期的に下振れするリスクは残っている

筆者が今回、底値見通しを上方修正する最大の理由は、ひと言でいえば、アメリカのダイナミズム、一種の大胆さと言ってもよいだろう。それがアメリカ株の調整を一段と小幅なものにする、と考えたからだ。

同国株の下落が軽微になれば、それが日本株の調整にもある程度ブレーキをかけるはずだ。前回と比べて何か日本で想定外の好材料が表れた、と考えるわけではまったくない。

アメリカの「新陳代謝」は健在

以前から「アメリカの株価のほうが日本株より優位に推移するだろう」と主張してきたが、このように考える最も大きな要因は、企業経営の大胆さだ。

やはりアメリカでは「リスクをとって新しい製品やサービスを生み出すことに挑戦してみよう」「新技術の萌芽や市場のニーズの変化を捉えよう」「大規模な事業再編を行おう」という意欲にあふれている。

また、起業家も多い。面白そうなアイデアを思いつけば「失敗するかどうか」ではなく、「いかに成功するか」を夢見て挑戦する。そして既存企業もベンチャーも、「失敗すればまたやり直そう」と立ち上がる。結果として、消えていく産業や企業、事業も多いが、新しく生まれるものも多く、新陳代謝しながら経済全体としては伸びていくのがアメリカだ。

そうした企業風土、経営風土を支える、社会的文化的な背景がある。「挑戦し成功してこその人生だ。失敗すればまた次」という精神が、元々の開拓者魂の名残なのか、あちこちの国からよりよい生活を求めて渡ってきた移民の文化なのかは、定かではない。だが、数十年前には存在しなかったような企業が産業の雄になっている、というのはやはりアメリカならではだろう。

足元の動向に話を戻すと、まず同国のバイデン政権が打ち出した1.9兆ドルの経済対策は3月の議会で可決され、動き始めている。

これらは既知の話だが、直近では「政府が3兆ドル規模の対策を追加する」と伝えられている。その内容はまだ判然としない。だが、環境関連のインフラ投資と、教育・職業訓練などだとされている。

バイデン政権はグリーン政策、すなわち環境関連に関心が高いが「環境関連投資で経済成長も支えよう」という考え方は「グリーンリカバリー」と呼ばれており、いかにもバイデン政権らしい、大胆で積極的な策だ。

また、教育・職業訓練への注力も、実は民主党政権ならではの着眼点と言える。アメリカの企業経営の積極性については前述した通りだが、アメリカ人全員がそうだ、というわけではない。保守的な人々も、かなりの数にのぼる。

そうした保守的な人々にどう対峙するか、という点において、トランプ政権とバイデン政権は対極にある。そう考える背景については省略するが、関心がある方は筆者の有料セミナーに参加なさるか、3月28日付けの有料メールマガジン「世界経済・市場花だより」をお読みくだされば幸いだ。

このように、バイデン政権は予想を上回る積極的な経済政策を打ち出している。一方、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みでも、ワクチン接種は当初予定より広がりを加速化している。

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