中国人が常に使う「紅いグーグル」百度の正体 政府から見て有害だと思われるサイトも遮断

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リー自身も2018年、こんな発言をしている。

「中国人は、個人情報に対して敏感ではない。自身の生活がもっと便利に、効率的になるのであれば、ほとんどの人は進んで提供してくれるだろう」

同社は2020年に新型コロナの感染拡大をきっかけに中国全土に広がった「データ共産主義」を先取りしている。海外からは「中国政府の言いなり」と見られることもある。

また、SNS、ネット通販という得意分野を基盤に事業領域を着実に広げたBATの他の2社に対し、バイドゥは検索以外に有力な事業を育成できていない。

自動運転やAI分野に進出

『GAFAMvs.中国Big4 デジタルキングダムを制するのは誰か』(文藝春秋社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

コロナ禍で広告収入が一時減少したこともあり、傘下の動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」を「テンセントに売るのではないか」という憶測も飛び交っている。

それでもバイドゥからは目を離すべきではない。「自動運転」「AI」といった目先の利益にならない研究開発に巨額の投資を続けているからだ。

バイドゥは売上高の10%に相当する100億元(約1691億円)以上を研究開発にあてている。

リーは「3~5年後には運転手不在の自動車が公道を走る」と予測しており、AIについては「(バイドゥは)インターネット人口7億人分の膨大なデータを機械学習に活用できる」と語っている。

リーが語る未来が到来した時、バイドゥは再び中国Big4(バイドゥ、アリババ、テンセント、バイトダンス)の先頭ランナーに返り咲くかもしれない。

大西 康之 ジャーナリスト

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おおにし やすゆき / Yasuyuki Onishi

1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)、『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』などがある。

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