東京五輪・パラリンピックへの海外観客受け入れ断念を受け、大和総研の鈴木雄大郎エコノミストは、消費支出は通常開催時の2100億円から600億-700億円減少するとの試算を示した。
日本人観客を収容定員の50%に制限する場合、減少額は1300億円程度に拡大するという。鈴木氏は五輪の経済効果は「国民のマインドで大きく左右される。いかに盛り上げるかが長期的に響いてくる」との見方を示した。
東京都オリンピック・パラリンピック準備局は当初、東京五輪開催による直接効果は2兆円を見込んでいた。このうち参加者・観戦者の動員による消費支出は約2100億円、グッズ販売やテレビの買い替え需要などの消費支出は約2900億円。
受け入れ断念の正式発表後の22日の日経平均株価は一時、前週末比2.3%安まで下落した。
東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「予想されたこととは言え、これでインバウンドが回復する期待が消えた」とし、一部消費関連や公共交通機関などを通じて国内景気にとってマイナスになると述べた。
投資助言会社フェアトレードの田村祐一運用部運用部長は「観光客が来ないことで、株式市場にはなんの意味もないイベントになった」と指摘。中止になったとしても「株式市場にこれ以上の悪材料はない」と話した。
帝国ホテルの広報担当者は「想定していた海外からのお客様が迎えられないことは観光業にとっては残念」と話した。ただ「コロナの終息が優先事項なので致し方がない。一日も早い収束を願っている」と述べた。
東急ホテルズの広報担当者も「海外のお客さんが増える準備はしていた。今回の決定でそれがなくなった」と肩を落とした。両替機の多言語化などを進めていたという。コロナ収束後に「海外のお客さんが戻ってくる。その先を期待するしかない」と話した。
著者:占部絵美、黄恂恂
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