「静岡リニア」川勝知事、ダム取水になぜ沈黙?

中部電力川口発電所、国の許可得ず稼働続ける

毎回会見で「リニア」には触れるが、中部電力問題には口をつぐむ川勝平太知事(筆者撮影)

全国的な注目を集めた大井川の「水返せ」運動の焦点だった中部電力・川口発電所(静岡県島田市)の水利権更新の期限が過ぎたまま、中電は国の許可を得ずに稼働を続けていることがわかった。大井川中下流域の水環境の影響でJR東海リニア工事に厳しい対応を求める川勝平太知事だが、大井川最大の水問題には口をつぐんだままだ。

リニア問題では流域10市町に参加する鈴木敏夫・川根本町長は「大井川の『水返せ』は全町民の願い。知事はJR東海だけでなく、中電へ強い働き掛けすることを期待したい」と話した。

大井川の水の多くが発電所に使われている

リニア問題を議論する国の有識者会議に提出したJR東海の水循環図によると、井川ダム(井川発電所)から奥泉ダム(奥泉発電所)、大井川ダム(大井川発電所)、塩郷えん堤(15m以下のダム、川口発電所)、笹間川ダム(川口発電所)が導水管で結ばれ、大井川の水がまんべんなく発電所に使われていることがわかる。

水循環図より上流にある赤石ダム(赤石発電所)、畑薙第一ダム(畑薙第一発電所)、畑薙第二ダム(畑薙第二発電所)やリニア問題で議論の対象となる西俣えん堤、東俣えん堤(いずれも二軒小屋発電所)などの発電所も稼働しており、大井川の利水率は総利水の95%以上とされ、地元の人たちは、大井川を中部電力“専用河川”と呼んできた。

塩郷えん堤(正面)直下の大井川。いまでもやはり“河原砂漠”のようだ(筆者撮影)

すべてのダムが導水管で結ばれ、大量の水を運ぶため、中流域の河川流量は非常に少なく、30年前、塩郷えん堤から下流の川口発電所までの約20kmは年間200日以上も水が流れない“河原砂漠”となっていた。

このため、中流域では洪水災害、浸水被害が頻発した。茶の生育への影響や浸水から生命・財産を守るなど生活防衛のため、地元は国、県に何度も要望書を出していた。

「生命の水を守れ」を合言葉に、流域住民が全国初の「水返せ」運動をスタートすると、1975年山本敬三郎知事(当時)は中電に「井川ダムから川口発電所までの約80kmの流域に水を返してほしい」と要求した。山本知事の要求を継承した斉藤滋与史知事(同)は、塩郷えん堤からの河川維持流量毎秒5立方m以上を求めた。

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