90年代スポーツカーが価格急騰でも狙い目な訳 懐かしのネオクラシックに乗る最後のチャンス

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R34型GT-Rの走行シーン(写真:日産自動車)

そんなネオクラシック価格高騰の背景には、ブームのほか、アメリカの「25年ルール」の存在も大きい。アメリカでは、国内販売されていないクルマに関して、個人輸入であっても一般道で乗ることができない。例えば、アメリカで販売がないR32〜R34型GT-Rが代表例だ。そんなクルマも製造から25年が経過すると、クラシックカーとして公道走行が可能になる。これが25年ルールだ。

そんな25年ルールが90年代前半のジャパニーズネオクラシックにも適用されるようになった。例えば、1889〜1994年に販売されたR32型GT-Rが該当する。この25年ルール適用により、アメリカでもネオクラシックカーの需要が急増し、絶版国産スポーツの海外流出が増え、結果として国内の中古車価格を押し上げることになっているのだ。

さらに25年ルールは、年月が経過すれば適用車種も広がっていく。そのため90年代前半のネオクラシックの値段も上がっていくだろう。そうなれば、ハコスカやケンメリのような価格になる可能性もある。そういう意味では、今が現実的に購入できる最後のチャンスかもしれない。

現行車種にも勝る、操る楽しさが魅力!

話は戻り、これら国産ネオクラシックの魅力は、まず今見ても新鮮さを感じさせるデザイン。バブル経済期の好調な業績を受けて潤沢な開発費が投じられ、各モデルが個性を競い合っていた。また技術の進化による走りの良さと、耐久性の高さによりメインカーとして使える点も魅力。豊富に揃っているアフターパーツをうまく活用してアップグレードを図れば、現代のスポーツカーに後塵を浴びせるパフォーマンスを与えることも可能。電子制御が進んだ現代の自動車たちにはない、アナログ的な自動車を操る楽しさが味わえるのがネオクラシック国産車なのだ。

当コラムでは、次回から熱いネオクラシック国産車の中から注目車種をピックアップして、モデルの変遷や限定&派生モデルの紹介、パフォーマンスを生み出すためのメカニズム解説、中古車価格の推移などをまとめながら魅力をさらに掘り下げていく。中高年世代には懐かしく、若年世代には新鮮な国産ネオクラシックカーの世界を気軽に楽しんでいただければうれしい。

川崎 英俊 フリーライター&エディター

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かわさき ひでとし / Hidetoshi kawasaki

1987年にモーター系出版社に入社後、社歴の大半をクルマのチューニング専門誌で過ごし2012年に退社。以降フリーライター&エディターとして、クルマとバイクをメインに各誌に原稿を寄稿中。

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