ユニクロとジーユー「9%値下げ」もたらす価値 顧客還元の一方でコスト増となる策は吉か凶か

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そう考えるとユニクロの商品は今後も、ほぼほぼ消費税分の10%を値下げしてコストを何らかの形で吸収する必要が出てくると予想されます。市場関係者によればそれは品質を下げる方向に働くことが危惧されるようで、これまで品質の高さに支えられてきたユニクロのブランドイメージを棄損するリスクがある。だからファーストリテイリング株は売りだという論理になったようです。

この理屈は経済学的な論理としてわかるといえばわかります。ファーストリテイリングの国内売り上げはユニクロとジーユーをあわせて約1兆円ですからコスト削減要求は1000億円レベルになる。これはファーストリテイリングの年間の純利益にも匹敵する金額で、だからこそこのリスクをファーストリテイリングが乗り越えられるかどうかは、いったん悲観的に見たほうがいいというのが株式市場の見方なのだと思います。

ではなぜ経済の専門家である私が「でもいまファーストリテイリングの株を買ってみよう」と思うのかというと、まさにこのユニクロ商品の品質が下がることを期待しているからです。

ユニクロとジーユーの製品の違い

実はかつてユニクロの熱狂的なファンだった私は、ここ数年は主にジーユーで普段着をそろえています。

今さらですがユニクロとジーユーの違いを説明しますと、ユニクロは全世代をターゲットにしているのに対して、ジーユーはターゲットを完全に若者に絞っています。

そうすると商品がどう違ってくるのかというとまずシルエットが若い。これはおじさんにとっては痛いのですがそのような特徴がまずひとつ。そしてもうひとつはそのためにコストを絞っています。同じような商品でもジーユーの場合、素材に化繊が多かったり、ステッチなどの加工が省略してあったり。そしてワンシーズン着るとそれなりによれてきて「来年は着られないな」という感じになってしまいます。

次ページユニクロの服が長持ちすることが経営上のリスク?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事