ユニクロとジーユー「9%値下げ」もたらす価値

顧客還元の一方でコスト増となる策は吉か凶か

株式市場の評価を含めてファーストリテイリングの戦略を読み解きます(撮影:真城 愛弓)

もっとメディアで話題になってもいいと思うのがユニクロとジーユー(GU)が3月12日から全商品を実質的に9%値下げしたというニュースです。

このニュースを耳にする直前のことでしたが、私は春物一式をそろえるためにジーユーに出かけました。チノパン2本(各790円)、ワッフル生地の長袖シャツ4枚(各990円)、春らしい柄のCPOジャケット2着(各990円)、明るいピンク色の無地シャツ2枚(各990円)と全体的にZoom会議でも明るい雰囲気に映える装いに整えようと思ったのです。

それで10着合計で9500円だったわけですが、会計で支払うと当然のように消費税がかかるのです。950円でした。そのときふと総務省の不祥事が頭に浮かび、950円納税したことについてなんかとても損をした気がしたのを覚えています。

その翌日に冒頭の値下げのニュースを耳にして、ダブルパンチのように「オーマイガーッ!」と叫んでしまったのですが、今回のジーユーとユニクロに関する話題はこの消費税が関係しています。

消費税分の総額表示に対応

この4月から消費税の表記を総額表示にすることが決められていて、それまで外税表示をしてきた小売業者や外食業者は表示変更をする必要に迫られています。ユニクロとジーユーの場合、商品表示が「990円+税」となっている部分をどう変更するかが問題だったわけですが、これについて3月12日をもって「990円」が総額表示であると読み替えることに決めたのです。これが全商品9%値下げの正体です。

実際、私は3月12日の午前中にジーユーの店舗に出かけました。品揃えも雰囲気も当然変わっていないのですが、手にとった商品の価格タグを見て同じ価格なのにそれが総額表示だと思うとずいぶん割安になった気がしたものです。

実はここからが面白いのですが、発表の翌日からユニクロとジーユーを運営するファーストリテイリングの株価が急落します。私は経済の専門家の視点でユニクロの9%値下げで業績があがると考えているのですが、市場参加者の多くは逆に捉えたようです。

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